最後に企業がグリーンIT、特に「ITにおけるエコ」を推進すべき理由について考えてみましょう。
もちろん、環境対応は国民の義務であり、グリーンITへの対応は当然であるという考え方もあるでしょう。
しかし、グリーンITにはこのような倫理的な観点以上に、実利的な効果があることも認識しておくべきです。グリーンITは「善悪の問題」である以上に「損得の問題」でもあるのです。
まず、企業イメージ向上というメリットがあります。
企業イメージの向上は一朝一夕で成し遂げられるものではなく、長期にわたる地道な努力により築き上げていくものです。また、消費者が企業を評価する上で、「環境問題への対応」をポイントの1つとするケースが増えています。同業他社が、グリーンITを企業イメージ向上策の1つとして推進し始めたならば、それに対して適切な対応を行っていなかった企業は、著しく不利な立場に置かれるでしょう。
第2に、データセンターにおける処理量の増大によって、電力や冷却設備の限界が迫っている企業が増えている点があります。このような企業にとっては、グリーンITはより差し迫った課題となるでしょう。
第3に、前述の仮想化のケースでも述べたように、グリーンITを推進することはIT基盤の効率化に結び付くことが多いという点があります。
語弊はあるかもしれませんが、IT基盤効率化の取り組みを推進するための方便としてグリーンITを使うことは決して間違っていないでしょう。
▼著者名 長谷川 長一
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