業務プロセスは「見せる化」しよう!業務プロセス[見せる化]塾(1)(1/2 ページ)

ビジネスプロセス・モデリングの効果の第1は、業務プロセスの見える化だ。ここでは“見える化”を1歩進めた“見せる化”のための記述ルールとその効果を解説する。

» 2008年10月07日 12時00分 公開
[中村洋(株式会社レンタコーチ),@IT]

 ユーザー企業の情報システム部門にいてBPMのモデリングツール=BPMモデラーを学んだけど、うまく活用できていない人はいないだろうか? あるいは、活用する場所が分からず、BPMモデラーの習得を躊躇(ちゅうちょ)している人はいないだろうか? この連載では、BPMモデラーを使わない業務プロセスの「見える化」では不十分で、1歩進んで業務プロセスを「見せる化」するためにBPMモデラーが有益なことを解説していきたい。

業務プロセスの「見せる化」とは

 業務プロセスに係る内部統制整備の一環としてリスク分析が行われるが、業務内容を熟知する業務部門とリスク分析に詳しい管理部門が、円滑かつ効率的にコミュニケーションできるようにするためのツールとして、BPMモデラーが有効だ。その意味では、BPMモデラーの操作と記法を習得している情報システム部門に対する期待は大きい。

 BPMモデラーを用い、一定の記述ルールに従って業務プロセスを記述すれば、業務部門だけではなく、多くの部門の目で業務プロセスに係るリスクを識別し、分析することができるようになる。

 筆者はある記述ルールに従ってBPMモデラーで業務プロセスを記述することを、業務プロセスの「見せる化」と呼びたい。この連載では、この業務プロセスの見せる化を扱い、1つの記述ルールとその効果を解説していく。

BPMモデラー利用のメリット

 まず、BPMモデラーの利点を振り返る。BPMモデラーは、一般的にはBPM関連ツールスイートであるBPMS(BPMシステム)の中の1つのツールで、業務の流れを描く機能を担っている。システム開発の上流において広く要求分析の一環として使われている。このBPMモデラーを用いて業務プロセスを描く利点を、筆者は次のようにとらえている。

  1. 標準表記法であるBPMNに従っている
  2. システム設計と連携できる

 第1項は、業務プロセスの構成要素が標準化されていることを意味する。第2項は、BPMモデラーの出力をシステム設計の入力に使えることを意味し、システム開発において要求分析から設計への移行を容易にする。ここではこれ以上触れず、第1項についてもう少し詳しく説明する。

BPMNによる作業パターン化

 業務プロセスは複数の作業の組み合わせによって構成されるが、よく観察すると、いくつかの作業パターンから成っていることが分かる。その主要な作業パターンとして、次のものを挙げることができる。

  • 逐次作業
  • 並行作業
  • 選択的作業
  • 作業のやり直し

 仮に作業1と作業2があるとして、作業1が終わってから作業2を始めるのが逐次作業パターンであり、同時に開始し、両方が終わってから後続の作業に移るのが並行作業パターンである。選択的作業パターンでは、ある条件を判断して、その結果に応じて作業1か作業2を選ぶ。作業のやり直しパターンでは、作業の結果を評価して、結果が悪ければ作業をやり直す。

逐次作業 逐次作業

作業のやり直し 作業のやり直し

選択的作業 選択的作業

並行作業 並行作業

図1 主要な作業パターンのBPMN表記例

 BPMNは業務プロセスをモデリングするときの表記法を定めたもので、ソフトウェア開発で用いられているUMLでいえばアクティビティ図に相当する。この表記法に従うと、主要な作業パターンを図1のように表記することになる。業務プロセスはこれらの作業パターンで構成されるから、結果としてその描き方を統一することができるようになるわけだ。

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