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» 2011年03月16日 12時00分 公開

特別企画 情シス部員は社内営業しよう:情報システム部員のための社内営業のススメ (1/3)

クラウドコンピューティングの登場などによって、SIerや社内情報システム部の存在意義が大きく変わろうとしている。従来の下請け的な仕事では、もはや生き残るのが難しいとも言われている。そこで必要となってくるのが“社内営業力”だ。

[安達裕哉,@IT]

情報システム部門は「社内営業」しよう!

 情報システムを取り巻く環境は、10年前のそれとは異なっています。クラウドコンピューティングの登場、OSの多様化、仮想化技術の進歩、そしてオフショア開発の加速など、環境の変化は加速する一方です。

 従って、企業内の情報システム部門の役割も、変化が求められる時代となりました。著者の観察によると、大きく変化するのは特に以下の2点です。

  1. 「システム屋」から「業務企画屋」へ
  2. 「下請け」から「相談役」へ

 この変化に対応するために最も有効な施策の一つが、「情報システム部門員による社内営業力アップ」です。本稿では、なぜ情報システム部門に社内営業が必要なのか、必要だとすればどのようなやり方が有効であるかを述べていきます。

情報システム部門員の役割の変化

 序文において、大きな変化を二つ、紹介させていただきました。これは具体的にどのような変化なのでしょう。詳しく見ていきます。

 まずは下のデータをご覧ください。こちらは「情報システム部門に不足している能力」に関する調査です。

図表1「情報システム部門に不足している能力」(クリックで拡大)出典:企業IT動向調査 2009 図表1「情報システム部門に不足している能力」(クリックで拡大)出典:企業IT動向調査 2009

 この調査結果によると、「業務改善の提案」や「IT戦略・企画」に関する項目が、「社内IT基板の設計」や「社内システムの運用・管理」という項目よりも求められていることが分かります。つまり、多くの企業で、企業内の情報システム部門に求める力は、より上流工程にシフトしつつあるのです。

 例を挙げましょう。ユニクロを運営するファーストリテイリングは、こう言っています。

ユニクロでは、情報システム部門を『業務システム部』と呼んでいる。事業に必要なのは、業務の強化とその業務に魂を入れること。情報システムやITというと、どうしても“コンピュータ屋”が出てきてしまうからだ。業務システム部は、情報システムのエキスパートではなくて、業務ノウハウのある種ハブ的存在でなければならない
(出典:マッキンゼーITの本質 ダイヤモンド社)

 また、彼らは、

システムをうまく作ることが目的になったら本末転倒だ。システム投資だけを見て費用対効果を議論することは、意味がない
(出典:マッキンゼーITの本質 ダイヤモンド社)

ということも述べています。

 上流工程へのシフトはかなり前から言われていましたが、最近ではより切実です。なぜならば、それはシステム構築における情報システム部門の仕事の多くが、そう遠くない将来に日本から消えてしまう可能性があるからです。

 なぜなら、クラウドコンピューティングや開発技術の標準化は、システム開発そのものの難易度を著しく下げ、もはや社内に高度な技術者を抱えずに済むことを可能にするからです。

 従って、これからは給料の高い情報システム部員を雇わず、外部の既製品をうまく利用することで、既存システムのコストを下げる試みが多くなることでしょう。

 では、日本の技術者はもはや必要ないのでしょうか?

 もちろん、全てのシステムが外部リソースに置き換えられるわけではありません。標準化の難しい仕事、高度なスキルを持った人にしかできない仕事は数多く残ります。

 そして、高度なスキルを持った人にしかできない仕事の代表的なものが、システムの上流工程です。創造力を発揮し、多くの条件を加味して最適解を導き出し、そして人を動かすことが求められる仕事です。

 つまり、情報システム構築に携わる技術者が、上流工程の仕事を行う技術を身に付けることは、これからの厳しい時代をたくましく乗り越えていくために、必要不可欠とも言えるのです。

 よって、この章をまとめる言葉として、これからの情報システム部門員は

  1. 「システム屋」から「業務企画屋」へ
  2. 「下請け」から「相談役」へ

 と言えます。

 1)は、「『システムを上手く構築できる人』は、もはや外部のリソースで良い。会社にとって必要なのは『業務全体を見渡し、全体を改善できる人』と言えるのです。

 また、2)では、「『エンドユーザー部門から言われたものをそのまま作るだけの人』はもはや不要で、『エンドユーザーの良き相談相手となり、ユーザーの悩みの解決を手伝える人』が会社にとって必要な人材である」と、言えます。

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