「人生脚本」を見直せば、悩みを根本的に解決できるITユーザーのためのメンタル管理術(6)(3/3 ページ)

» 2011年03月31日 12時00分 公開
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人の問題行動の裏にある、“寂しさ”を理解してあげよう

 さて、以上のように私たちの人生は、そのさまざまな局面において「人生脚本」に大きく左右されています。特に近年、私たちは第1回『「いつでもどこでも仕事ができる」がつらい人たちへ』でお伝えしたようなユビキタス社会へのストレス、職場での人間関係によるストレスなど、常にあらゆるストレスや状況変化にさらされながら生きています。その要所要所で「人生脚本」が露呈するのです。しかし、幼いころに作り上げたその生き方――決断のパターン――は、「自分で変えることができる」ということを、ぜひ強く認識してほしいと思います。

 そこで、本連載でお伝えしてきたTAの理論を駆使して、まずは「今ここの自分」から変えてみてください。具体的には、以下の3つのポイントを日常的に意識してみてください。これにより、どんな局面においても良い感情や良いイメージが持てるようになれば自己変革は大成功と言えると思います。

  • プラスのストロークを素直に受け渡しすること
  • 心のポジションを「OK OK」に保つこと
  • 心理ゲームを避けること

 これが難しいようでしたら、前のページで紹介した「脚本分析」と「書き直し」を行ってみてください。あなたが日常の中で感じる嫌な感情の根元には、きっと幼いころに消化し切れなかった何らかの経験があるのだと思います。自分で難しいようでしたら、TAに詳しい専門のセラピストの力を借りて行うのも良いと思います。この書き直しが成功すれば、あなたはあらゆる局面で、ずっと明るく、ポジティブな決断を下せるようになるはずです。


 さて、本連載で私がご紹介したかった内容は、以上で全てとなります。ただ、最後にもう1つだけお伝えしたいことは、「TAの理論を学べば、心理ゲームを仕掛ける人も、マイナスのストロークを受け取る人も発する人も、もともとは人を傷つける目的で行動しているわけではないと分かる」ということです。「みんなストロークが欲しいだけ」と考えれば、自分には理解できない行動を取る人に対しても、無理をせず、温かい心で接することができるようになります。相手を否定せず、肯定するとは、このように相手の真意を汲み取り、その気持ちを思いやり、温かく接してあげる、ということなのではないでしょうか。

 世の中は変化しますし、人は人との関わりなしに心の健康を保つことはできません。

しかしどんな状況においても、人は、人と関わりながら自律的に自分の人生(コミュニケーション、仕事、家庭)を創り上げていくことができます。そのことに、一人でも多くの人が気付き、自発的に変わっていければ、社会全体が素晴らしい価値を発揮するネットワークになるのではないかと私は考えています。

 この連載を読んでいただいた皆さんの心の変化により、皆さん自身、皆さんの職場、そして皆さんのご家庭がハッピーになることを心から祈りつつ、私自身も一緒になって「今ここの自分」を大切にしていきたいと思います。

 長期にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。

著者紹介

小関由佳(おぜき ゆか)

NIコンサルティング コンサルタント。 広島大学大学院教育学研究科修了。教育心理学の研究を活かし、NIコンサルティングにて人事、採用、教育企画などに取り組み、その一環としてTA(交流分析)やNLP(神経言語プログラミング)を中心とした心理学の研究、活用を行う。特に自身の「ストローク理論」をIT日報に活用した「日報ストローク」、IT日報のコメントで上司と部下のコミュニケーションを分析する「コメント交流分析」、リフレーミング手法を日報に応用した「日報GOOD&NEW」は、心理学の企業組織への適用手法として注目を浴びている。


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