食品・卸や小売業界では、受発注業務に関する複雑さや難しさ、属人化に多くの課題を抱えています。特定の担当者に依存したり、紙やExcel管理のようなアナログで手作業の多い業務フローではミスや遅延が発生し、事業・ビジネスの成長を阻害する原因になってしまうためです。
この記事では、食品・卸・小売業の受発注業務効率化に向け、「アナログ」な体制から脱却する方法、デジタル化とシステム導入のメリット、有効な機能とともに、おすすめの受発注システム/製品を厳選してご紹介します。あなたの会社のシステム導入計画の参考になれば幸いです。
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目次
アナログな受発注管理がもたらす課題
アナログ業務の現場では、業務フローの統一が難しく、情報が錯綜しがちです。この章では、アナログな受発注管理によって引き起こされる課題を具体的に見ていきます。
- アナログ・手作業工程である
- 情報が錯綜する
- 「特定の人」でないと作業できない
記録ミス・見落としが発生しやすい構造・体制
電話やFAX、手書きなどのアナログな手段では、口頭での伝達ミスや聞き間違い、記録の転記ミスが日常的に発生します。
たとえば手書き「7ケース」の発注を「1ケース」と誤認したり、電話で「半ダース」と「3ダース」を聞き間違えたり、FAXが紙詰まりで未着になったりするなど、アナログ工程は人為的なトラブルのリスクが常につきまといます。また、紙ベースでは過去の発注履歴を検索するのが難しく、誤発注があった際の原因特定や再発防止も困難です。
こうした構造的な問題は、特に繁忙期や欠員発生時に顕著となり、クレームやロスを招く要因になります。
現場ごとに異なる受発注手段で情報が錯綜する
食品卸や小売業では、発注方法が店舗や担当者ごとに異なるケースが多く見られます。例えば、ある店舗ではFAX、別の店舗では電話、また別の現場では手書きメモによる発注が行われているといった具合です。
このように統一されていない手段が混在すると、情報の取りまとめや確認作業がより煩雑になります。フォーマットがバラバラならば記載ミスや記録漏れが起こりやすく、ミスの温床となってしまいます。受注側も入力作業に時間を取られ、業務全体のスピードが落ちる原因になります。
業務が属人化し、人材育成・引き継ぎが困難
受発注業務を長年同じ担当者が「個人の判断と経験」に基づいて行っているシーンは多いと思います。ベテラン担当者の経験はもちろん会社の重要な資産ですが、それだけに頼るのでは業務が極度に属人化している可能性があります。
そんな状況は、担当者が不在の際に代替対応が困難となり業務が滞ります。またベテラン担当者の退職や異動があるとノウハウが失われ、業務の再構築に時間、コスト、売上ロスなどが発生するリスクも心配です。組織としての対応力にも課題が残ります。
おすすめ発注ミスの原因と対策|ミスを起こした場合の対処法と予防する方法
デジタル化で変わる受発注管理の方法
アナログ業務の非効率さを解消する手段として、受発注管理のデジタル化が大きな効果を発揮します。
特にクラウド型システムの導入によるスマートデバイスでも管理できる環境は、業務の属人化やミスを抑制し、取引先とのやりとりも効率化します。ここでは、受発注業務のどの部分がデジタル化によって変わるのかを、実務目線で詳しく見ていきましょう。
- クラウド型受発注システムの活用
- モバイル対応でどこでも発注・確認
- 取引先にも発注ツールを提供し双方を効率化
- 取引先との情報共有を自動化
クラウド型受発注システムの活用
クラウド型の受発注システムは、サーバの構築や運用が不要で、初期費用を抑えて導入できることが大きな魅力です。ソフトウェアのインストールも不要で、ブラウザさえあればすぐに利用できるため、現場への展開もスムーズです。
また、複数の拠点や店舗でも同じ・唯一のデータベースにアクセスする「データ一元化」の体制も整うため、発注履歴や在庫状況の一元管理が可能となります。従来のようにエクセルや紙での管理に頼る必要がなくなり、情報の正確性と透明性が大きく向上します。
この1ページで解決「受発注システム」の主な機能、メリット・デメリット、製品選定のポイントを分かりやすく解説
モバイル対応でどこでも発注・確認
スマートフォンやタブレットでの運用に対応したシステムの導入によって、場所を選ばず業務を行えるようになります。
たとえば、店舗のバックヤードや営業先の現場、配送中の車内などからでも在庫確認や発注処理が可能になります。これにより担当者の移動時間を短縮できるだけでなく、対応スピードも向上します。
加えてUIがシンプルで操作ミスが起きにくい設計となっているものが多く、ベテランから新人まで幅広い層に対応できるのも強みです。
取引先にも発注ツールを提供し双方を効率化
近年では、自社だけでなく取引先にも発注用のWebフォームを提供できる受発注管理システムも増えています。
これにより取引先もFAXや電話を使わず、スマホから直接発注情報を入力・送信できるようになります。受注側はその情報を即座にシステム上で確認・処理できるため、誤発注のリスクが減り、過度な確認作業も不要になります。さらにその履歴は自動で適切に蓄積されるため、過去の注文内容の確認やトラブル時の対応も迅速に行えます。
取引先との情報共有を自動化
クラウド型の受発注システムでは多くの場合、取引先への発注通知や納期情報の共有が自動で行われる仕組みも備わっています。
たとえば、発注が完了すると同時に相手に自動でメールや通知が送信され、納期が変更された場合も即時に共有されます。これにより確認の電話やメールが不要となり、情報の行き違いやダブルブッキングといったミスも回避できます。こちらも共有履歴を記録し残しておくことで、後から状況を追跡することも容易です。
受発注管理システムに備わる主な機能
受発注管理システムに備わる主な機能は以下の通りです。ここでは主に食品・小売業の活用シーンを例に機能を簡単に解説します。
- 受注処理機能
- モバイルデバイス対応機能
- 在庫管理機能
- 顧客情報管理機能
- 請求書処理機能
- 支払い処理機能
- 製品/サービスカタログ機能
- 配送管理機能
- リアルタイムな情報更新機能
- カスタマイズ対応
- 分析・レポート機能
- 顧客サポートと問合せ管理機能
受注処理機能
取引先からの注文をスマホやタブレットで即座に受け取り、デジタルで管理する受発注システムの主機能です。FAX・電話と異なり、内容の聞き間違いや記録漏れを防げ、納品ミスのリスクを大きく減らせます。
モバイルデバイス対応機能
オフィスや店舗のPCだけでなく、外出先・スマートフォンやタブレットでの運用にも対応しているかどうかの項目です。モバイル対応ならば、納品先でその場で在庫確認や発注処理を行うといった対応もできます。昨今は特に高齢者などでも直感的に操作できる製品が増えています。
在庫管理機能
店舗や倉庫ごとの在庫数をリアルタイムで可視化し、欠品や過剰在庫を防ぐ+在庫の確実性を高める機能です。例えば、毎朝の在庫確認をアプリで一目で済ませられるため、発注ミスや機会損失を削減できます。
顧客情報管理機能
得意先ごとの発注履歴や支払条件など顧客情報を一元管理する機能です。過去の取引内容をすぐに確認できるため、高齢の担当者からの業務引き継ぎもスムーズに行えます。
請求書処理機能
受注に紐づけて請求書を自動作成する効率化機能です。手間のかかる手書き/手作業の処理をなくし、請求漏れや記載ミスを防止。請求書はPDFで出力・送信でき、締め作業も効率化されます。
支払い処理処理機能
支払予定一覧の自動作成や支払状況の可視化・確認できる機能です。支払漏れや重複支払いの防止につながり、経理業務の負担を軽減します。銀行口座などと連携し自動処理も可能な製品もあります。
製品/サービスカタログ機能
発注画面へ商品カタログ類を表示し、発注・管理のしやすさを支援する機能です。たとえば店舗スタッフが写真付きの商品一覧から選んで数量を入力するだけで済み、システム化による教育コストも低く抑えられる効果が期待されます。
配送管理機能
納品状況や配送予定を一覧で管理する機能です。特に地方配送が多い食品業においては、配達状況の見える化が取引先との信頼維持に役立ちます。
リアルタイムな情報更新
在庫や発注のリアルタイム状況を視認できる機能です。たとえば本部と各店舗間での在庫共有も即時に反映できます。二重発注や見落としの防止につながります。
カスタマイズ対応
職種や業種、自社の運用ニーズに沿い、画面や機能の細かいカスタマイズに対応できるか否かの項目です。たとえば、午前中締め・午後締めなど締め時間の違いに対応したい、など特に複雑・特殊な業務フローがあるシーンに求められます。
分析・レポート機能
売れ筋商品や在庫回転率などの分析、レポート作成を支援する/自動化してくれる機能です。過去データに基づいた仕入れ計画が可能となり、カンや経験のようなあやふやな感覚だけに頼った発注体制から脱却できます。
アクセス管理機能
各担当者ごとに操作できる範囲を設定・制限できる機能です。たとえば店舗スタッフは発注のみ、本部は集計と設定変更が可能、といったように、誤操作や情報漏洩対策につながる設定が可能です。
顧客サポートと問合せ管理機能
納品ミスや商品欠品などの問い合わせ履歴を記録する機能です。電話対応などのほか、チャットやフォーム連携でのサポートにも対応する製品もあります。顧客対応のトラブルや属人化を防ぎ、同時に顧客対応力を高める効果が期待できます。
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受発注管理を効率化する受発注管理システム導入のメリット
受発注管理システムの導入によって得られる主なメリットを6つに整理し、それぞれ実務シーンを交えて具体的に解説します。
- ミス削減と正確な情報共有が可能になる
- 属人化を解消し、誰でも対応可能な体制になる
- 業務スピードが大幅に向上する
- データ蓄積による分析・改善が可能になる
- 顧客満足度が向上する
- 自動化でコスト削減できる
ミスの削減と正確な情報共有が可能になる
FAXや電話での発注にありがちな、聞き間違いや書き損じを防げます。定型フォーマットによる入力ができ、発注内容も自動で記録・共有されるため、社内でも取引先間でも、情報のズレや漏れが生じにくくなります。
属人化を解消し、誰でも対応可能な体制に
履歴情報や条件付きでの自動入力機能などを使うことで、ベテランの経験や感覚に依存せず、誰でも正確に受発注業務が行えるようになります。引き継ぎもスムーズに進められます。
業務スピードが大幅に向上する
クラウドやスマホアプリを活用すれば、店舗や営業先でも即座に発注が可能です。FAXの待ち時間や事務所への移動が不要になり、スピーディな対応が実現します。
データ蓄積による分析・改善が可能に
システムに蓄積された発注・販売履歴をもとに、売れ筋商品や繁忙期の傾向などを分析できます。業務改善や仕入計画の精度向上にも役立ちます。
顧客満足度が向上する
納品の確実性が高まることで、取引先との信頼関係が強化されます。商品欠品や二重発注などのミスも減り、問い合わせやクレーム対応の負担も軽減されます。
繰り返し業務の自動化でコスト削減
帳票作成や支払処理、売上集計といった定型業務の多くをシステムで自動化できます。業務効率化によって、残業削減や人件費の見直しにもつながります。
食品・卸・小売業に適する機能を備える受発注管理システム10選
ここでは食品・小売り業の業務改善に向く機能・特徴があるおすすめの受発注管理システムをご紹介します。各システムの特徴や導入メリットの比較・無料トライアルでの試用、資料請求などとともにシステム選定の参考にしてください(製品名 abcあいうえお順/2025年6月時点)。
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