カノープスが5月上旬に発売する「MultiRDVD」は、DivX/Xvid動画の再生も可能なDVDプレーヤーだ。しかし、ネットワーク機能などは搭載せず、デザインもごく平凡。一見しただけでは他社製品との違いが分からない。しかし、カノープスコンシューマー事業本部の中田潤本部長によると、操作性や画質の面で多くのアドバンテージがあるという。
「MultiRDVDの特徴は、まずスムーズな早送りと巻き戻しだ。それぞれ2/4/8/16/32倍速をサポートし、リモコンのボタンを押せば即反応する。DVD専用プレーヤーと同じ、ごく当たり前の操作性を実現した」(中田氏)。
“ごく当たり前の操作性”が、なぜアドバンテージになるかは、同種の製品を使ったことのある人なら直ぐに分かるはずだ。既存製品の場合は、最初に巻き戻し/早送りキーを押したとき、数秒の待ち時間が発生することが多い。これは、内部でインデックスを作成しているため。早送り中も“パラパラ漫画”のように、静止画が高速に切り替わるイメージだ。ただし、これでも改良は進んだほうで、さらに以前のDivX対応プレーヤーでは、早戻し/早送り再生ができない機種も多かった。
MultiRDVDの場合も“パラパラ感”は依然として残るが、リモコンのボタンを押すと直ぐに早送り/巻き戻しが始まる。このほか、動画の一部分を拡大する「ズーム」や、A-B間の「リピート」といった操作にも対応しており、中田氏は「DivX再生機でこれだけスムーズなトリックプレイを可能にした機種は初めて」と胸を張った。
一方、画質面にも“初”がある。「MultiRDVDは、DivX Proに対応している。Quarter Pixel、GMC(Global Motion Compensation, one-point)、post-processingといったDivX Proのオプション設定を使ってエンコードしたファイルをすべて再生できるのも他社製品にはない機能だ」(同氏)。
たとえばQuarter Pixelは、圧縮時の単位面積(ピクセル)を無印DivXの4分の1にするオプション。当然、作業効率は下がるが、画質面で有利になる。ただし、既存のDivX対応プレーヤーでは、このオプションがオンになっていたために再生できなくなるケースも多かった。
中田氏によると、MultiRDVDがこれらの機能を実現したのは、台湾MediaTekの最新チップセット「MT1389」を採用したためだという。これまで、DivX対応プレーヤーに使われるチップセットは、米Sigma Designs製か、ESS製が主流であり、MediaTek製チップの採用は、これもまた“国内初”だとしている。
「DivX再生に特化したプレーヤー用のチップセットは年々性能が向上している。Sigma Designsも今年のCESで新チップを発表したが、まだ市場には出回っていない。現在手に入るチップの中では、MediaTekが最も高性能だ」。
なお、ITmediaでは近日中にMultiRDVDのレビュー記事を掲載する予定だ。
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