独Infineon Technologiesは5月10日、MP3プレーヤー内蔵ジャケットや、火災発生時に避難経路を案内できるカーペット、家電を集中制御するシステムなどの新製品について都内で説明した。新技術を通して「コンピュータを意識することなくその恩恵を受けられるようにしたい」(Infineon Technologiesライナー・シェーンロック シニアディレクター)という。
同社が従来から取り組んできたウェアラブルコンピュータ(関連記事参照)は、今夏に欧州で始めて商品化される。米O’neillと提携して開発したMP3&Bluetooth通信機能付きスキージャケットで、価格は499ユーロ。同機能を内蔵しない製品よりも200ユーロ安い。「低価格に抑えることで、ウェアラブルコンピューティングという新しい市場を広げる」(シェーンロック シニアディレクター)。
USB端子つきの128MバイトのMP3プレーヤーと、Bluetoothチップを内蔵。MP3プレーヤーで再生した音楽を、Bluetoothを介してウェアに内蔵したイヤフォンから聴けるほか、Bluetooth通信機能付き携帯電話と併用すれば、ウェア内蔵マイクとイヤフォンでハンズフリー通話ができる。ジャケットごと洗濯も可能だ。
これとは別に、服の内部と外部の温度差を利用して発電するシリコンベースの小型熱電力発電器も開発済み。「ウェアラブルコンピュータを組み合わせれば、MP3プレーヤーを電源なしで動作させることも可能になる」(シェーンロック シニアディレクター)。
避難経路を案内できるカーペットは、導電性の織布にセンサーやマイクロプロセッサなどを組み込んだ「スマートテキスタイル」を採用するもの(関連記事参照)。一定間隔ごとに圧力センサーを内蔵すれば人の歩行を追跡でき、接続したPCに情報を送信できる。またLEDライトを内蔵すれば、火災時などに避難経路のライトを点灯させて誘導するといったことが可能になる。スマートテキスタイルを内蔵したカーペットの試作品は、欧州のカーペット会社と提携して10月に発表する予定だ。
PDAなどの制御用機器と家電製品との無線通信を可能にするチップも研究中だ。例えば、食器洗い機が故障した時に、PDAと通信させるだけで、PDA内に記録しておいた食器洗い機のエラーコード一覧を自動で参照でき、故障した部分を知らせてくれるといった仕組みだ。新しく家電を買っても、ネットからエラーコードファイルをPDAにダウンロードして対応できる。
また、RFIDタグの低価格化にも取り組む。現在、同社が販売しているシリコンベースのRFIDタグは1チップあたり50ユーロセントだが、「あと5年で1ユーロセントにする」(シェーンロック シニアディレクター)。従来は直流だった電源を交流にすることで整流器やクロック発振器、モジュレータを省略し、小型化・低価格化するほか、電極部をチップ全面に広げることで、電極の位置決めにかかるコストも削減できると見ている。
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