ソニーマーケティングは5月10日、HDD内蔵のポータブルオーディオプレーヤー「VAIO Pocket」(VGF-AP1)を発表した。同社が打ち出した“VAIO第2章”の一環として、6月5日に発売する予定だ。価格はオープンプライスだが、店頭では5万3000円前後になる見込み。
「VAIO Pocket」(VGF-AP1)は、約20Gバイトの1.8インチHDDを内蔵したオーディオプレーヤー。再生可能なファイル形式は、ATRAC3とATRAC3plusのみだが、付属ソフトを使ってMP3/WAV/WMAのファイルも簡単に変換&転送できる(後述)。本体のディスプレイは、約26万色表示が可能な2.2型カラー液晶(320×256ピクセル)で、日本語表示も可能な液晶リモコンもバンドルした。内蔵のリチウムイオンバッテリーにより、約20時間の連続再生が可能だという。
HDD内蔵型のオーディオプレーヤーは、アップルの「IPod」など競合製品が多いが、ソニーではVAIO Pocketの競争力に自信を持っている様子。「HDDプレーヤーとしては大画面のカラー液晶を搭載し、鮮やかなユーザーインタフェース(UI)と“検索性”というインテリジェンスを与えた。連続20時間再生というスタミナバッテリーも合わせ、UIと基本性能で差別化できると考えている」(IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーNCプレジデントの木村敬治氏)。
機能が増えると、ユーザーインタフェースと操作は複雑になりがちだが、VAIO Pocketでは「G-sense」(ジー・センス)と呼ばれる新しいタッチパッドを備えることで操作性を向上させた。G-senseは、タッチパッドの“滑らせる”操作と、ボタンの“押す”動作を両立させたユニークなポインティングデバイスだ。パッドの上に縦横5個ずつの薄型ボタンを配置したスタイルで、指をスライドさせれば選択位置が移動し、目的の項目に合ったところでプッシュすると“決定”になる。
また、パッドの右端を触るとボリューム調整などの各種設定が、左端を触ると“戻る”メニューがポップアップする。省スペースながら利用範囲の広いG-senseにより、VAIO Pocketはプレーヤー単体で“絞り込み検索”、再生した楽曲の履歴からの選曲、静止画(ジャケット写真)による選曲など、多彩な検索機能を実装している。
楽曲データやJPEG画像の転送は、付属のクレードルを介して行う。クレードルは、USB2.0のUSB-AとMini-USBのポートを持ち、パソコンとの接続にくわえ、デジタルカメラの接続も可能だ。VAIO Pocketのメインメニューから「デジタルストレージャー」を選択すれば、パソコンなしでデジカメの中にある画像をVAIO PocketのHDDに転送できる。つまり、「旅行先にデジタルカメラとVAIO Pocketを持っていけば、メディアが一杯になったときに内蔵HDDが受け皿になる」(同社)。
パソコンからのファイル転送に使うソフトは、「SonicStage Ver.2.0」と「music move」の2つだ。このうちSonicStageは、ソニー開発のジュークボックスソフトで、音楽CDからのリッピング、および音楽配信サイトからのダウンロードをサポート。好きな楽曲をストックしておき、聞きたい曲を選んでVAIO Pocketに転送できる。このとき、MP3/WAV/WMAといったファイル形式の楽曲は、ATRAC 3もしくはATRAC 3 plusに自動変換される。
一方の「music move」は、パソコン上にあるMP3/WAV/WMAの音楽データをドラッグ&ドロップするだけで、フォーマット変換と転送を一度に実行してくれる簡易転送ソフトだ。対応OSは、いずれもWindows 98SE以降となっている。そのほかの主な仕様は下記の通り。
製品名 | VGF-AP1 |
---|---|
HDD容量 | 約20Gバイト |
対応ファイル形式 | ATRAC3/ATRAC3 plus |
ディスプレイ | 2.2型QVGA+カラー液晶(320×256ピクセル) |
バッテリー駆動時間 | 約20時間 |
本体サイズ | 115.2(幅)×63.3(高さ)×17.2(厚さ、*1)ミリ |
本体重量 | 約195グラム |
付属品 | リモコン、ステレオヘッドホン、USBクレードル、ACアダプタ、USBケーブル、電源コード、ソフトウェアCD-ROM、取扱説明書、保証書 |
価格 | オープン(直販価格は5万2290円) |
発表会の最後には、IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーNCプレジデントの木村敬治氏が「Do VAIOの未来」と題してデモンストレーションを披露。年内発売予定の「VAIO Type X」と、ポータブルAVプレーヤーの試作機を公開した。
「VAIO第2章のコンセプトは、AVの技術とITを本当の意味で融合させること。これまで、いろいろな意味で加えられていた“制約”から、ユーザーを解放する」(木村氏)。
7つのチューナーと1Tバイト級のストレージを搭載するVAIO Type Xが、ユーザーを“放送時間から解放する”ものなら、ポータブルAVプレーヤーはユーザーを“決まった視聴場所から開放する”もの。詳細は明らかにされなかったが、少なくともワイヤレス機能を持ち、幅広い利用シーンに適応できることは確かだ。
パソコンで録画した動画ファイルを持ち歩き、ホットスポットなら「直接(自宅のパソコンに)アクセスしてコンテンツを取ってくることも可能」(木村氏)。そして自宅に戻ったら、リビングルームのテレビで続きを楽しめるという。デモンストレーションでは、ボタン1つで映像を「WEGA」にワイヤレス伝送してみせた。
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