5月20日にサービスを開始するPC不必要の音楽配信サービス「Any Music」のスタート記念イベントが行われ、エニーミュージック代表取締役社長の野口不二夫氏が出席してのトークセッションが行われた。
トークセッションに参加したのは野口氏のほか、レーベルゲート代表取締役社長の高堂学氏、TOKYO FM執行役員の林屋章氏、HMVジャパン E-Commerceプロダクト&マーケティングマネージャの青木洋平氏の3名。高堂氏らはAny Musicにサービス提供側としても参加している。
野口氏からはAny Musicの背景が説明されたほか、他の参加者からはAny Musicにて提供される自社サービスの説明や、Any Musicに今後求めたいことなどが語られた。
野口氏によれば、Any Musicの構想は3年前から存在していたという。
「ブロードバンドが普及すれば、デジタルコンテンツが流通する時代はきっと来ると確信していた。それに、デジタル家電が伸びるという予想もしていた。しかし、それらに加えて、コンテンツへ対価を支払うという流れが必要だった」(野口氏)
野口氏は、「ブロードバンド」と「デジタル家電」の2つに加えて、「コンテンツに対価を払う文化」こそがAny Musicがスタートする下地として必要であったと述べる。
加えて、野口氏は「どこでも、いつでも音楽を楽しむ、それが“Any”」とAny Musicのコンセプトを述べながらも、「あくまでもAny Musicはプラットフォーム。人と音楽の距離を近づけるのが目標」という。
確かに、エニーミュージックそのものはポータルサイト運営や顧客/課金管理、カスタマーサポートなどの業務を手がけ、音楽配信やCD販売などを行うわけではない。それだけに、ユーザーのAny Musicに対するイメージは、具体的なサービスを提供する側によって大きく変わってしまう。
今回、そのサービス提供側として参加するのが、音楽配信のレーベルゲート(Mora)、FMラジオ情報提供のTOKYO FMとその系列局、CD販売のHMVジャパンの3社だ。
レーベルゲートの高堂学氏は、「iTunesの成功が話題になっているが、これはシングルCDという提供方法がないという米国の事情にマッチしたということ。レンタルCDという文化がある日本の方が、音楽配信サービスに向いている」とAny Musicでの音楽配信サービスに自信を見せる。
Any Music対応機器にはFMチューナーが搭載されており、ユーザーはFM放送で流れている曲や、番組名などから過去に流れた曲をチェックすることができる。そうしてチェックした曲はMoraやHMVのサイトで購入することもできる。TOKYO FMの林屋章氏は、「Any Musicは、放送局とリスナーの距離を縮めるもの。新鮮な体験になる」とする。
HMVジャパンの青木氏は、同社Webサイトの会員数が80万人を超えており、Web経由の販売が売り上げ全体の17%を占めるまでに成長してると現状を述べた上で、「Any Music経由での購入できるCDの品揃えは約80万点。うち、17万点は24時間以内に届けることができる」とアイテム数のほか、迅速なサービスも提供できるとする。
まもなくスタートするAny Musicだが、各サービス提供者側からはAny Musicへの期待も寄せられた。
「家電ということで、親しみやすいという点に期待する。早めに普及価格帯の製品を出して欲しい」(高堂氏)
「十分期待に応えてくれていると思う。いろいろな機能をスマートにまとめた、いい“道具”だと思う。現在、Any Musicにサービスを提供しているのはTOKYO FMの系列局だけだが、他系列の局へも働きかけていきたい」(林屋氏)
「PCがなくともCDがオンライン購入できるので、新たな層が拡大できるのではないか。現在は音楽だけだが、リッチコンテンツを扱えるようになれば、DVDなどのセールスも見込める。“MoraからHMV”のような流れを期待したい」(青木氏)
こうした意見を受けた野口氏は、「まだまだ最初の一歩。各社がおもしろい機能や、新しい使い方を盛り込んでくれれば」と、関係各社の積極的なアプローチを期待するとコメント。また、「カーオーディオや携帯電話との連係機能もいずれは実現したい」とも述べ、さらに幅広いサービス提供を目指す意向を示した。
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