「第12回産業用バーチャルリアリティ展」(IVR)が6月16日、東京ビッグサイトで開幕した。
IVRは最新のバーチャルリアリティ技術が一堂に会する展示会。3Dディスプレイ、モーションキャプチャ、ヘッドマウントディスプレイなどが所狭しと並んでいる。
今回は「ディスプレイを超える3D」を切り口に、会場で目に付いた製品を紹介しよう。
会場の各所で、複数人が一同に立体視できるシステムが出品されていた。オーソドックスな大型の3Dディスプレイを使ったもの以外にも、新奇なアイデアを採用したシステムも見受けられた。
アイスマップの「Illusion Hole」は、立体映像をテーブル中央のホール部に浮かび上がらせ、360度どこからでも見ることができる。
偏光メガネに位置センサを取り付け、利用者の立ち位置を認識、場所に応じた映像を見えるようにする。例えば心臓を映し、指で示すことで、ほかの利用者に患部を伝えることができる。
基盤技術は、大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学の岸野研究室が開発。2001年のSIGGRAPHで原理と設計を発表した。アイスマップが販売を請け負い、昨年から大学などへ販売開始、IVRを機会に企業に向けても売り込むという。価格は1000万円程度。
囲んで見るというところでは、日商エレクトロニクスはドーム内に3D画像を表示するシステム「Perspecta」を展示。偏光メガネを着用せずに立体視が可能だ。
Perspectaはドーム底に設置したプロジェクタから映像を投影。ミラーで反射させ、ドーム中央にあるうちわ状のプロジェクトスクリーンに映す。スクリーンを高速回転させ、3D画像を再現させる仕組みだ。
昨年春から提供を開始している。今回展示された最新版では、スクリーンの回転数を上げるなどの改良を加えた。価格は1500万円程度。
また、半球ドームを使った3Dシステムの展示も、幾つか見受けられた。
デモのために整理券を配り、1時間待ちの盛況ぶりだったのは、東京現像所などが出展する6メートル半球ドーム型スクリーン。半球スクリーンの左右から、プロジェクタで映像を映し出す(関連記事参照)
従来は同じ風景をそれぞれバラバラに映し出すしかなく、画像の重複、継ぎ目の色合いのずれなど、実用に耐えなかった。東京現像所はオリンパスの自動画像補正装置「VisionPlex」を採用することで、こうした問題を解決した。
松下電工が出展する「CyberDome」は、これとは別の方式を採用。ドーム上部に、プロジェクタを設置し、ミラーに反射させて投影する(関連記事)。
左目用と右目用に計2台のプロジェクタを用意。それぞれの画像の歪み補正のためにPCが1台ずつ控える。Master PCを加えた3台であらかじめ半球ドームの歪みを踏まえた映像を作成。CyberDome専用のCGデータに加え、PCからAVI、MPEG2、MPEG4、DivX、Xvidといった形式のファイルを再生することもできる。
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