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» 2004年06月21日 17時19分 公開

中国では有料のチートプログラム市場が急成長――SIG-OG講演会で魏氏が指摘

ブロードバンド推進協議会オンラインゲーム専門部会(SIG-OG)の特別講演会でソウル中央大学の魏晶玄助教授は、中国では有料のマクロ(チート)プログラム市場が急成長しており、ゲーム業界としても何らかの対応が必要だと述べた。

[記事提供:RBB TODAY]
RBB Today

 6月19日、東京・霞ヶ関の東海大学交友会館で、ブロードバンド推進協議会オンラインゲーム専門部会(SIG-OG)特別講演会が開催された。当日はソウル中央大学経営戦略学科助教授である魏晶玄(ウィ・ジョヒン)氏の特別講演と、株式会社コーエー執行役員で「信長の野望 Online」プロデューサーの松原健二氏、立命館大学政策科学学部助教授の中村彰憲氏、魏晶玄氏の3名によるパネルディスカッションが行われた。会場はゲーム業界・大学関係者ら約百名の聴衆が詰めかけ、日・韓・中のオンラインゲーム市場の現状報告を中心に、様々な角度から議論が繰り広げられた。

photo ソウル中央大学経営戦略学科助教授 魏晶玄(ウィ・ジョヒン)氏

 特別講演会の第一部では、魏氏が最新の調査研究を元に、日・中・韓におけるオンラインゲーム市場の現状と最新動向について講演を行った。講演内で魏氏はオンラインゲーム市場の形成要因について「コンソールゲーム市場」「ユーザーのPC操作能力」「海賊版市場」の有無が上げられ、韓・中ではコンソールゲーム市場が存在せず、PC房(ネットカフェ)をはじめとした低年齢層ユーザーに対するPC操作の習熟機関があり、海賊版市場が存在していたために、日本と違いオンラインゲームの普及速度が早かったと分析した。

 また韓国市場の現状では、「開発会社のパブリッシャー化」「ゲームポータルサイトの拡大」「検索サイトなど一般ポータルサイトとオンラインゲームの融合」「新規開発会社に対する参入障壁の拡大」などの傾向が見られ、特に「リネージュII」のヒットに伴いMMORPGの3D化の流れが加速。これが開発コストの増加に拍車をかけていると述べた。魏氏によると、昨今の3DのMMORPGの中には、初期の開発費用が3億円〜10億円、マーケティング費用が3億円にも上るタイトルも珍しくないという。

 その上で昨今の開発トレンドとして、「コンソール、アーケード、モバイルなど他のプラットフォームに対する技術転用」「グローバル市場への展開」「メディアミックスの拡大」などを紹介。特に欧米を中心とする世界市場ではアクション、スポーツ、レースなどのジャンルが人気で、RPG市場は8%程度しか存在しないため、他ジャンルやアーケード市場への展開が今後の成長には不可欠であると指摘した。

 他に日・中・韓におけるMMORPGユーザーの行動特性も示され、一般的にPKやレベル上げに対するニーズは中国、韓国、日本の順に高く、コミュニティに対するニーズは日本、韓国、中国の順に高いこと。また現在韓国ではゲーム内アイテムを現実のお金に換えるリアルマネートレード市場が、オンラインゲーム市場と同程度まで拡大している一方で、中国では有料のマクロ(チート)プログラム市場が急成長しており、ゲーム業界としても何らかの対応が必要だと述べた。魏氏によるとリアルマネートレードは法整備など課題はあるが、新しい市場に成りうる可能性もあり、必ずしも否定されるものではないという。

 その上で魏氏から、日・韓における共同開発の可能性として、漫画・アニメなど豊富なコンテンツリソースを持ち、コンテンツ開発力に長けた日本のゲーム業界と、オンラインゲームの開発管理と運用、ネットワーク設計能力に長けた韓国ゲーム業界が、相互の強みを生かして開発を行うメリットが示された。

photo パネルディスカッションには、立命館大学助教授の中村彰憲氏、コーエーの松原健二氏が登場

 第二部では魏氏とコーエー松原氏・立命館大学の中村氏が出席し、IGDA日本の新清士氏の司会でパネルディスカッションが行われた。席上では中村氏により中国オンラインゲーム市場の最新動向が示された後、松原氏により北米オンラインゲーム市場の最新事情、さらにコーエーのオンラインゲーム戦略について説明がなされ、魏氏も交えて今後の可能性について討議が行われた。

 中村氏によるとMMORPGの寡占化はすでに中国でも進んでおり、現在までにサービスされたMMORPG計141本のうち、クロースドβが40本、オープンβが17本、サービス中のタイトルが59本、すでにサービスを終了したものが25本あるという。また多くは「リネージュ1」のような2Dタイトルだが、「リネージュII」「A3」などの3Dタイプのゲームもサービスが始まっており、話題性のあるタイトルについてはPC房(ネットカフェ)側も積極的に設備投資を進めていること。また中国の国産3DMMORPGの開発も進んでおり、三国志をモチーフにした「鉄血三国」などがUnreal IIエンジンをライセンスした他に、政府が資金援助して国産の3Dエンジンを開発する流れもあると紹介された。

 また松原氏によると、アメリカでは現在PS2のネットワークアダプタが300万台超の出荷で、これは北米で販売されたPS2の1割以上にあたり、現在も増加中であることが示された。そのため現在はオンライン対応タイトル以外は流通側が積極的に入荷したがらない傾向があるという。ただし主流になっているのはMMORPGではなくMOタイプのタイトルで、スポーツやアクションなどの対戦タイトル、または「モンスターハンター」などのMORPGタイトルが今後の主流になるという。また同社が運営するMMORPG「信長の野望Onlone」については登録ユーザー数が8万人、有料ユーザーが5万人、最大同時接続者数が2万人であること。また現在開発中の「大航海時代Online」については、自社で中国展開を行うことを予定しており、課題として現地でのGM育生や政府機関への許認可の問題を上げた。

 SIG-OGはブロードバンド協議会の部会として位置づけられ、国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)が協力。ブロードバンド推進協議会はソフトバンクBBが中心となって2003年7月に設立された団体。

photo オンラインゲーム専門部会(SIG-OG)特別講演会の様子。会場には大勢の来場者がつめかけた