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手書きと立体っぽさとパイの実〜国際 文具・紙製品展2004っぽいかもしれない(2/2 ページ)

» 2004年07月02日 08時14分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]
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 「これ、アナグリフ式ですけど、『ああ、知っている知ってる赤青メガネのでしょ』っておっしゃるかた多いんですよ。でも、そういう人のほうが、これをみて『おおっ』って言ってくれる。これはやったあって気分になりますね。その『おおっ』の部分の差が『遠山式』っていうことですからね」。

photo 遠山式立体表示法

ディラッド空間パネル

 錯覚が錯覚を呼んで、投影した映像が立体的に見えるというすばらしいスクリーン。きもとの製品。

photo 錯覚を写真に撮るのは無理だろうと思ってシャッターを押したのだけど、やっぱりこれではぜんぜんわからない。すみません

 最近、ノベルティのマウスパッドなんかで、細かいぎざぎざのシートの向こうに水玉やハートマークのパターンがあって、それがシートの面の手前あるいは奥のほうにみえるというものを見かけることがある。これでわかる人はあれかぁと思って。

 そうじゃない人のためにざっくり説明すると、ぎざぎざのシートは実は微小なレンズが並んでいるものなのだ。その向こうに、非常に小さなパターンがある。それがそのレンズで拡大されて浮かび上がってみえるようになる。あとはそのパターンとレンズの位置関係を調整すれば(レンズは一続きのシートだから、パターンの位置を調整するのが簡単)、浮かび上がる高さを調整できるというわけ。全部が印刷技術で作れるので安く作れ、ノベルティにも十分というわけ。

 ディラッド空間パネルというのは、原理的にはこれなのだ。パターンを、額縁部分と内側の四角部分の2つに分ける。そして額縁は本当のスクリーンよりも手前、内側はスクリーンよりも奥にみえるようにしてある。ここに、背面からプロジェクタで映像を投影する。すると、この映像は本当のスクリーンの位置に表示される。つまり、奥から「内側の四角」「投影された映像」「額縁」となっているように見えるわけだ。しかけはこれだけ。これだけのことで本当は平面であるはずの「投影された映像」が立体になっているように見えるのだ。ステレオのデータじゃないのに。

 デモではCGデータが流されていたのだけど、確かに立体だと錯覚する。自然画のデータがないのでどうしてですかと聞いたら、黒バックの自然画というのが難しいため。黒バックじゃないと「内側の四角」が透けて見えないので、効果が出ないのだ。それさえクリアすれば自然画でもOK。むしろ馬が走ってくるところなどは強い効果を示すのだそうだ。

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 立体的に見せる手法としては、簡単なわりに効果が高いのがいい。パネルは作ってしまえば、あとから調整する個所はない。あとは投影するだけなのだ。

平行とじコーナークリップ

 草創館の製品。紙のコーナー部分を止めるタイプのクリップだ。2枚の平行な板の間を斜めのばねでつないであるという構造をしている。挿んでいる紙が薄くても、枚数が多くて厚くても、平行な板は常に平行のままだ。

photo 平行とじコーナークリップ
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 従来のクリップは、洗濯ばさみ型(支点が中間にある)あるいは、ゼムクリップ型(支点が挿むのとは反対側の端にある)の構造をとっていた。洗濯ばさみ型の場合、挿む紙が薄いとかえって反対側が厚くなってしまうし、ゼムクリップ型は挿むものが厚いとクリップの端はそれよりももっと開いて、結局厚くなってしまった。でも、平行式ならそういうことはないというわけ。簡単だけど頭がいい。

「パイの実」

 ゼブラの限定商品「お菓子な香りのジェルボールペン」。インクからお菓子の香りがする。それも漠然としたもんじゃない。あのお口の恋人のロッテのお菓子である。全部で6種類。「BLACK BLACK」(ガム)、「爽」(アイスクリーム)、「ガーナチョコレート」、「GREEN APPLE」(キシリトールガム)、「梅」(ガム、もしかすると小梅キャンディかも)そして「パイの実」。

 「梅」は良い。本物の梅じゃなくて、あの梅ガムのにおいがする。「BLACK BLACK」「GREEN APPLE」とガム系はなかなか再現性が高い。「爽」は、つまりバニラフレーバーだ。これもわかりやすい。チョコレートはいままでにもあったものだけどわりと安っぽくなりがちだった。その点「ガーナ」は、けっこうちゃんとチョコレートのにおいがする。ただ、それがほんとに「ガーナ」なのかどうかはよくわかんない。

photo ゼブラの限定商品「お菓子な香りのジェルボールペン」

 さて、と思わず段落を変えちゃうけど、「パイの実」だ。さくさくのパイ生地の中にチョコレートがはいっているというあのパイの実だ。ほかのは、事前に何となく香りのイメージがわいたんだけど、こればっかりは想像もつかない。いやパイの実の匂いはわかるんだけど、でも。

 期待して嗅いでみました。やっぱり一番つらい。たしかにちょっと香ばしい系で、パイの実って言われたらパイの実かもしれない。でもパイの実って言われなかったらパイの実じゃない。そのくらい。だけど、こういうインサイド低めぎりぎりをついて来るってのは、おいしい。それがストライクかボールかは審判によるだろうけど。

最後に4色ボールペン

 トンボ鉛筆の4色ボールペン「REPORTER」。ペン軸の上の方にスライド式のノックレバーが4つ並んでいる、いわゆる4色ボールペンである。でも、これが細かいアイディアの固まりなのだ。

 まず、そのノックレバーが、色ごとに突起の形が違う。覚えちゃえば手探りで色がわかるのだ。これは、なかなか気持ちがいい。シャンプーとリンスみたいにメーカーを超えて定着することを期待しちゃう。

photo トンボ鉛筆の4色ボールペン「REPORTER」

 次にクリップ。よくあるプラスチックの弾性をつかうものではなく、根元にしっかり板バネが仕込んである。これによって、厚みのあるノートやバインダーでもそのまま挟めてしまう。表紙にだけひっかけるってしなくていいわけだ。カタログには8ミリまでって書いてあるけど、1センチくらいは平気そうだった。

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 それから、カタログには「ペン内部に衝撃吸収ラバークッションを搭載」とすごい書き方をしてあるけど、繰り出したペンを戻すときのカシャって音をゴムで吸収するようにしたんだそうだ。あの音が耳障りで嫌だという人が多いらしい。わたしなんか、意味もなくペンをかしゃかしゃやって遊んでいるんですけど。

 「そういう人には物足りないかもしれませんね」

 また、素材や構造を工夫することで、4色ものでもいままでの3色より細くなっている(12φ)のだそうだ。

 このペン、派手なところは何にもない。でも、地味な技術をひとつひとつ重ねることで、全体として新しいものになってる。こういう技術の使い方は好きだ。

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