三菱電機に“AV機器メーカー”のイメージを持っている人はそう多くないだろう。D-VHSビデオデッキをはじめ、今でも多くのVHSレコーダーを手がけているが、DVDレコーダーやフラットパネルテレビでは他社に出遅れた感もあり、店頭でもあまり存在感はない。
しかし、三菱電機にはAV機器の黄金期があった。マドンナのCMで一世を風靡したVHSビデオ「ファンタス」シリーズは、日本ビクターや松下電器産業の製品と並び称され、大画面テレビの「CZ」シリーズもソニーの「プロフィールプロ」と同列に、その画質は高く評価された。筆者のように30代後半か、それ以上の年齢の人には、AV機器メーカーとしてのイメージも強く残っているのではないだろうか。
「楽レコ」シリーズは、その三菱電機がDVDレコーダー本格参入(再参入)の第一弾となる製品だ。2002年末にHDD+DVDのハイブリッドレコーダーの「DVR-DS10000」を投入し、その画質は高く評価されたが、そのシリーズ製品も後継製品も登場しなかった。
今回は、HDD+DVDハイブリッドレコーダーが3モデル準備された。型番は「DVR-HE700/600/500」。DVR-E700がアナログBSチューナーを備えている点を除けば、各モデルの違いはHDD容量とフロントパネルのデザインだけ。つまり、ユーザーは、機能面の相違を気にせず、HDDへの録画時間だけで製品を選択できる。今回は「DVR-E700」を試用したが、「DVR-E600」「DVR-E500」に対する評価とも思ってかまわないはずだ。なおHDDは、DVR-HE700が250Gバイト、DVR-HE600が160Gバイト、DVR-HE500が80Gバイトを搭載している。
機能面は“そつなく”まとめたという印象だ。地上波EPGを備え、ワンタッチで地上波放送の録画予約が可能。コピーワンス番組の録画とDVD-RWメディアへのムーブに対応し、DVDへのダビングも最大36倍(PC表記で最大6倍速)と高速だ。高速ダビング中の予約録画にも対応する。3D Y/C分離などの高画質化回路も搭載しており、最近のトレンドは、ほぼおさえていると思って良い。
DVR-E700の特長が「高速起動」だ。電源オンから録画可能になるまでの時間を「世界最速1.5秒」としており、実機でも概ねその通りだった。画面表示とほぼ同時に、チャンネル切り替えと録画開始は操作可能になる。たとえ番組が始まる5秒前にレコーダーの電源が切れていても録画時間に間にあうわけだ。
なお、すべての機能が利用可能になるまでには、電源オンから10秒ほどかかる。要するに、録画のための機能を優先して起動し、残りの機能が起動中でも、録画操作だけは例外的に可能にしたわけだ。もっとも、10秒でも他社製品に比較すれば十分に早いといえる。
ほかの操作でもレスポンスは良好。大きな優位性があると思えるほどではないが、メニュー操作はリモコン操作にしっかり追従する。録画済み番組の一覧では、動画サムネイル表示の関係で上下キーによる番組間移動が多少緩慢な印象も受けるが、ページスクロールも可能になっており、概ね快適だ。
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