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DSLで培ったノウハウでFTTH市場に参入 〜センティリアム・ジャパンの高橋氏

» 2004年07月26日 22時00分 公開
[記事提供:RBB TODAY]
RBB Today

 FTTHは、ADSLよりも高速であるとともに安定性も抜群だ。さらに値段も手頃になってきたこともあり、ユーザの伸びがめざましい。そんな中、DSLチップベンダーであるセンティリアム・ジャパンがFTTH市場への参入を発表した。そこで、代表取締役 高橋秀公氏にお話を伺った。

同社のチップが搭載された評価ボードを持つ高橋氏

 センティリアムは、ADSLモデムのコアになるチップセットを製造する会社だ。おもに、イー・アクセス、NTT東日本、NTT西日本、TOKAIで採用されている。そのセンティリアムがなぜFTTH市場に参入したのだろうか。

 高橋氏は「ブロードバンドアクセスという分野にソリューションを提供していくのが我々のビジョンです」とするように、あくまでも「最初はDSLだった」というだけで、今回FTTH市場に参入したのは自然な流れというわけだ。

 ONUをはじめとする現状のFTTHのソリューションはというと「各社さんがそれぞれ自社でチップセットを開発しています」といった状態だ。そのため、ONUが製造できるベンダーは非常に限られてくる。「ADSLの時もそうでしたが、我々のようなベンダーがチップセットを供給すると、トータルボリュームが増えます。そのため、ONUのベンダーがチップセットを開発して自分たちだけで使うよりも安くなると思います」としているように、ONUが安価になるとともに、開発が容易になるため、今後ベンダーが増えるといったことが考えられる。

 また、センティリアムのFTTH市場への参入だが、ゼロからのスタートではない。一見すると、DSLとFTTHは全く別の技術のように思われるが、センティリアムはアナログ処理の技術と1チップにさまざまな機能を搭載するというDSL市場で培ったノウハウを生かしているのだ。

 同社がFTTH市場に参入するにあたり投入する製品の1つとして、レーザなどを制御する「Zeus トランシーバーチップ」が挙げられる。「アナログのエンジニアは結構いますから、そのノウハウを使ってやっています」としているように、ここではアナログとデジタルを変換する技術が生かされている。

 さらに、SRAMやMIPS CPUを統合したIEEE 802.3ahチップセット「Mustang Optical Network Unit(ONU)ファミリー」、VoIP/VPN/無線LANなどのサービスを実現するチップセット「Unicorn ブロードバンド サービス プロセッサ」も同社で提供する。こちらについても、すでにDSLモデムのチップセットで実現されている。そんなこともあり、MIPS CPUについては「DSLの時と同じアーキテクチャーを使っています」としており、DSLモデム用に開発したソフトウェアがそのまま利用できるように設計されている。

同社のFTTHチップセットを用いたソリューションの一例。右側がユーザ側。BIDIで光から電気信号に変換されZeus トランシーバーチップに受け渡される

 これにより、電気信号〜TCP/IP〜SIPといったようにすべてのレイヤーを同社のチップセットだけでカバーできるようになる。そのため、「レイヤーが違うからとアナログだけやっているベンダーもありますが、アナログからデジタルまでやるというのはほかにはないでしょう」と一括で提供していることをアピールしている。

 現在のADSLモデムは、ブロードバンドルータを内蔵しているものが一般的になっている。さらに、無線LAN、IP電話アダプタも内蔵し多機能化に向かっている。一方のONUはというと、単にブリッヂしているだけのため、非常に不便だ。

 しかし、センティリアムがFTTH市場に参入することで、さまざまなベンダーが多機能化ONUの開発がしやすくなる。近いうちに、ADSLモデムと同じようにブロードバンドルータ、無線LANアクセスポイント、IP電話アダプタを内蔵したONUが登場しそうだ。