東芝、NEC、メモリーテックの3社は26日から3日間、HD DVDの普及を加速させるために国内コンテンツ事業者向けの説明会を開催している。その中で、各社はHD DVD事業化についての取り組みを説明した。
HD DVDは既存DVDとの高い互換性を誇る次世代DVD規格。1層0.6ミリの基板を2枚張り合わせるメディア構造やピックアップの開口数(0.65)も既存のDVD規格と同一で、生産設備も既存のものを流用できる。このため、製品化も低コストで済むと考えられている。
「HD TVとHD Video、どちらを対象にするかでBlu-ray DiscとHD DVDは分かれてしまった」。こう語るのはNEC 第一ストレージ事業部 統括マネージャーの早津亮一氏だ。
Blu-ray DiscはHD TV放送を録画するメディアとして開発されたため、“MPEG-2で2時間録画”が目標となった。一方、HD DVDは現行DVD-Videoの後継として開発されたため、圧縮形式は問わずに“2時間の再生ができればよい”と、同じ12センチの光ディスクながら目指すところが異なったため、違う規格となってしまったのだという。
とかく対立関係が強調されるBlu-ray DiscとHD DVDだが、早野氏は「HD DVDはDVDフォーラムの規格であり、DVDフォーラムには現在215社が参加している。それに、Blu-ray Discを推進する13社のうち10社はDVDフォーラムのメンバーでもある」と説明。「HD DVDは東芝とNECが推進する規格」という従来のイメージの払拭を図った。
規格策定の終了したHD DVD(再生専用のHD DVD-ROM)の著作権保護機能には「AACS(Advanced Access Content System)」が採用されているという。詳細についての説明はなされなかったが、位置づけとしては既存DVDにおけるCSSに相当するもので、Blu-ray Discにも採用されるという。
同社はPC用 HD DVD/DVDのコンパチドライブを展示、デモを行った。展示された5インチベイ用ドライブの製品化は2005年中ということだが、同社では、デスクトップPCのみならず、コンシューマー向けプレーヤーやゲーム機、カーナビ、ノートPCへの利用も目指す。
東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社長の藤井美英氏はHDD&DVDレコーダーの登場によって「HDDにどんどん録画して、残したい映像だけをDVDに保存する」という新しいスタイルが一般的になりつつあると指摘する。
こうしたスタイルの浸透と、ハイビジョン放送の開始や大画面・高精細テレビの普及を背景に、「高品位なコンテンツのパッケージ配布」と「アーカイブ用途」がこれからの光ディスクに求められると述べる。
HD DVDの特徴は既存DVDとの互換性の高さだが、この点について藤井氏は、「DVDから次世代DVDへの移行は緩やかに行われる。10年以上は共存するのではないか」「(音楽)テープからCDへ変化した時ほどの急速な変化はない。世界中のコンテンツベンダーと協議しながら移行を進めていくことになる」と急速な移行については否定的な見解を示す。
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