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液晶プロジェクターの常識覆す高画質――エプソンD5パネル劇場がある暮らし――Theater Style (2/3 ページ)

» 2004年08月13日 16時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

新型のシーン適応型コントラスト比拡張機能を提案

 すでに“素の状態”でも、驚くほど高いコントラスト比を実現しているD5パネルだが、試作機にはシーン適応型の「コントラスト比拡張機能」が実装され、この機能をオンにすることで、さらにコントラスト比を5倍に拡張できる。

photo コントラスト比拡張機能をオンにするとさらに黒が締まる

 コントラスト比を拡張する機能としては、昨年末に松下電器のTH-AE500やサンヨーのLP-Z2といった人気機種が、シーンの明るさに応じてランプ光量を自動調整して見かけ上のコントラスト比を800:1から1200:1へと1.5倍に向上させる技術を搭載していた。

 これに対して試作機に搭載されていた技術は、ランプ光量は一定ながらその代わりに絞りを動的に変化させ、さらにシーンごとにもっとも明るいポイントを液晶パネル上でもっとも明るい色で表現するという方式。実際に投影される映像の明るさは、絞りによって変えるというものだ。

 この機能は非常に効果的で、D5パネルの黒がさらに沈み込み、さらに暗部の階調性も向上する。写真を公開することができないのが残念だが、ハリーポッターで蜘蛛のモンスターが登場する場面を投影してもらったところ、黒浮きがないのはもちろん、背景となっている漆喰の模様がきれいに浮き上がり、映像の中にきちんと階調情報が含まれていることが一目でわかる。暗部の階調性に関しては、DLPよりもずっと良好に見えた。

 1500:1のデモ機では理論値5倍で7500:1となるが、1800:1のシステムにこの機能を組み合わせると計算上は9000:1となる。「スペック上では10000:1も見えてきます。3板式DMDの業務用デジタルシネマ映写機でもコントラストは1000:1ですから、今回のパネルには自信を持っています」と小池氏。

photo セイコーエプソンTFT事業部TFT設計技術部長の小池啓文氏

 とかくDLPと比較され、画質面では下と言われてきた液晶プロジェクターの弱点が、過去のものになろうとしていることは間違いない。

 液晶プロジェクターには、他にも画素間のブラックマスクが生み出す格子状の影、応答速度、開口率の低さ、素子寿命の短さなどが指摘されることが多いが、いずれも解決、あるいは解決の目処がついているという。

 「格子状の影は、複屈折板を用いることで消すことが可能です。この技術を“ぼかしている”と捉える人もいるようですが、実際の動きは異なります。解像度チャートを投影すると、解像度に変化がないことがわかるでしょう。応答速度はD4の16ミリ秒に対して12ミリ秒に向上しました。実際には光学系の問題で残像が残るという問題がありますが、これはすべてのプロジェクターに共通するものです」(小池氏)

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