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“お手軽VPNルータ”の実力を探る〜バッファロー「WHR2-G54V」&「BHR-4RV」レビュー(2/3 ページ)

» 2004年08月31日 12時16分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 VPN接続では、“LAN上のパソコンにコンピュータ名でアクセスできない”という基本的な問題がある。一般に言う「名前解決」の問題だ。

 Windowsで利用されているコンピュータ名は、LAN内にWINSサーバやDNSサーバがない限り、パソコンが相互にブロードキャストして通知&相互認識している。しかしVPNの場合、ブロードキャストパケットはルーティングされず、LANの外に出て行かないため、相手を認識できない。もちろん、IPアドレスを利用すればVPN接続からLAN内のPCにアクセスできるのだが、ブロードバンドルータを利用してインターネット接続を利用している人の多くは、パソコンのIPアドレスなどDHCP任せだろう。

 「WHR-G54V」では、自身のDHCPサーバ機能を利用することで、この問題を擬似的にクリアしている。LAN内のパソコンが「WHR-G54V」のDHCPサーバにIPアドレスのリクエストを出した時、相手のコンピュータ名を記憶しておき、コンピュータ名とIPアドレスの一覧(対応表)を作成。VPN接続時にも、この一覧を利用してコンピュータ名で外部からアクセスできるという仕組みだ。

photo 実際に無線スポットからVPN接続してみた。外部からでもコンピュータ名とIPアドレスの対応表を参照できる
photo IPアドレスとコンピュータ名の一覧。コンピュータ名のリンクをクリックすると共有可能なリソースが表示される

 なお、この機能は「WHR2-G54V」の電源を入れた(もしくは再起動された)後、PCがDHCPサーバにIPアドレスのリクエストを要求しないと機能しない。PCの電源は入れっぱなしが多いという人は、IPアドレスのリリース時間を短めに設定しておくといいだろう。初期設定では48時間なので、最悪丸2日間程度は「WHR2-G54V」がコンピュータ名を認識できない場合があるからだ。

LAN間接続も手軽に

 「WHR-G54V」は、PPTPクライアント機能も備えている。これにより、同じくPPTPサーバ機能を持つバッファロー製ルータとの間でルータ間接続、つまりLAN間接続も可能になった。LAN間接続ではより強固な暗号化を行うIPSecに対応するルータを用いることが多く、最近は低価格な製品も登場している。しかしこれらの製品は固定IPアドレスでの運用が前提であったり、設定が難解であったりと手軽さに欠けるのが実情だ。

 「WHR-G54V」は、LAN間接続もウィザードを利用して容易に設定できる。もちろんPPTPサーバ側もPPTPクライアント側も固定IPアドレスである必要はなく、PPTPサーバ側ではダイナミックドメインも利用可能だ。

photo LAN間接続のサーバ側設定も3ステップ。基本的にはクライアント側の接続IDとパスワード、クライアント側のLANで利用するIPアドレスを設定するだけでいい。PPTPサーバ側を本社、PPTPクライアント側を支社と実際にありそうな分かりやすい表記を用いている点は、いかにもバッファロー

 便利なのは、PPTPサーバ側で設定ファイルを書き出すことで、PPTPクライアント側の設定まで半自動化できる点だ。LAN間接続では接続するLAN同士が同じセグメントを利用してはいけないのだが、ウィザードで接続を許可するPPTPクライアントの設定を行うたびに、異なるセグメントを利用するように自動的に設定してくれる。さらにこの設定をファイルとして書き出し、PPTPクライアント側で読み込めば、接続IDやパスワード、さらにLANで利用するIPアドレスの設定まで行ってくれる。

photo 書き出した設定ファイルをPPTPクライアント側で読み込むだけで、必要な設定はすべて行ってくれる

 ウィザードを利用した場合、全てのLANのIPアドレスをDHCP任せにするか、DHCPに合わせて手動設定する必要がある。しかし、ここまで簡単にLAN間接続を可能にした製品は初めてではないだろうか。

 またLAN間接続の場合でも、前述のIPアドレスとコンピュータ名の一覧を利用できる。参照するアドレスを「buffalo.setup/hosts.html」ではなく、「(接続先のルータのアドレス)/hosts.html」とする必要はあるが、ルータのアドレスは通常固定なので、ブックマークやリンクを作成しておけばいい。

実測でも十分な高速性を発揮したVPN接続

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