「移動電話も固定電話も、これまでのビジネスモデルが通用しない時代になっている」――NTT(持ち株会社)の和田紀夫社長は10月5日、CEATEC JAPAN 2004の基調講演で、同社の次世代ネットワーク戦略について語った。
携帯電話ユーザーの9割がインターネットに接続する中、パケット定額制サービスがスタート。ネット接続のブロードバンド化が進み、IP電話も普及しつつある。一方で、P2Pファイル交換ソフトの普及によるトラフィックの急増やネット犯罪など、新しい問題も出てきた。
同社は、2002年に構想を発表した光ファイバーベースの次世代ネットワーク「RENA」(レナ:Resonant Communication Network Architecture)で、電話やネットワークの変化に対応するという。
RENAの特徴は、固定網とIP網の“いいとこ取り”。端末に関わらずいつでもどこでも情報にアクセスでき、固定電話網の品質や安全性と、IP網の低価格性を併せ持つ。「緊急性の高い通信は優先してつなぐなど、固定電話でのノウハウも投入して信頼性の高いネットワークにする。今の電話網やOCN網を巻き取り、引き継ぐ形にしたい」。
また、ユーザーのネットワーク使用量に応じて料金を変えるシステムの導入も検討する。「多量のデータを常時、セキュアにやりとりしたい人からは高い使用料をもらうが、セキュリティやネットワークの安定性は気にしないという人へのサービスは安価に抑えたい」。
ただし実現に向けては技術的な課題がまだまだ多く、さらなる研究開発が必要だという。
和田社長は、固定電話と携帯電話を連携させ、一部は融合させたいという考えも示した。「端末の移動利用が当たり前になれば、両者の区分が意味を持たなくなるのではないか」。
融合に向けた取り組みとして、7月に発表したFOMAと無線LANのデュアル端末(関連記事参照)や、同日発表した、FOMAとPC間でTV電話できるサービスを紹介した。
さらに「自社ネットワークだけでなく、他事業者のさまざまな端末と接続できるようにしたい」という。「端末が多様化すると、1人のユーザーに複数の電話番号やIPアドレスを割り当てねばならず、NTT単体では決められない」とし、必要に応じて他事業者やISPなどと協力していく姿勢だ。
「RENAの実現には課題が多すぎて、NTT単独では解決できない。ユーザーや事業者、関係業界の連携が必要。世界で孤立しないために、国際的な連携も重要になる」。
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