1台のPCがある。リモコンに仕込んだマイク向かって楽曲のタイトルを言えば、音楽を再生してくれる。ゲームはディスクを挿入するだけで自動起動。TVを見ている時に電話がかかってきたら、相手のプロフィール、好きな音楽や映画、以前に会った日時まで画面に表示する。電話を取ると、再生中のTV映像を自動で録画。電話が終わると、録画した部分から追っかけ再生してくれる。
音楽、映画、TV、インターネット、電話、ゲーム──すべての機能を1台のPCに統合する。マイクロソフトが考える「デジタルライフスタイル」の一部だ。
10月6日、CEATEC JAPAN 2004の基調講演でマイクロソフトの古川享最高技術責任者(CTO)は、「PCと家電の融合を目指す」とし、Windowsをベースにした新しいライフスタイルを提案。米Hewlett-Packardと共同開発したPCを使って冒頭のようなデモを行った。
古川CTOは、「PCが登場してから25年経ち、その役割は終わったとよく言われる。しかしPCや周辺機器の市場はデジタル家電に負けない規模。画像エンコード機能や記録メディアなど、PCが培ってきた技術はデジタル家電に生きている」とPCの存在価値をアピール。「PCと家電のデバイスや技術の共通化は、新しいビジネスにつながる」とする。
新しいビジネスとは、デジタル技術を使ってユーザーのライフスタイルを変えるというもの。忙しい暮らしの中で効率よく仕事をこなしながら友人とコミュニケーションし、映画や音楽なども楽しめるシステムを、メディアや通信、デバイスをまたがって提案したいという。
「既存の技術で実現できるライフスタイルを、IT関連メーカーやコンテンツホルダー、流通業者など、さまざまな企業と連携して提案したい。デモでお見せしたシステムも、技術的にはすべて実現可能なものだ」。
新しいライフスタイルの提案に向けた具体的な取り組みも始まっているという。
同社が9月にアメリカで発表した携帯マルチメディアプレーヤー「Portable Media Center」や、携帯機器向けOSのWindows Mobileは、PC以外のデバイスでWindowsプラットフォームを利用できる一つの例だ。「携帯電話と家庭内サーバでスケジュールデータを同期させたり、サーバ内の映像コンテンツを携帯プレーヤーから再生させるといった使い方が考えられる」
技術のオープン化への取り組みもアピールする。「WMVは『VC-1』と名前を変え、規格をオープンにした。T-Engineフォーラムと協働し、TRONとWindowsの共存も図っている。Digital Living Network Alliance(DLNA)にも参加して新しい規格作りを手伝っている」。
家電分野への攻勢を強める“OSの巨人”マイクロソフトに対する市場の反応は、決して温かいものではないという。「『マイクロソフトはお願いだから家電の世界に来ないで欲しい』とよく言われるが、そう言わずに是非みこしを担がせて欲しい」。
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