人の声からピアノの音まで演奏できるアコーディオンが登場した。
ローランドは10月8日、電子アコーディオン2機種を発表した。スピーカーを内蔵した「FR-7」(11月下旬発売、実売予想価格:61万円前後)と、スピーカーを省いた「FR-5」(来年2月発売、同50万円前後)で、イタリアのRoland Europe S.p.A.が開発・製造する。
各種アコーディオンの音色に加え、ピアノやフルートなど22種類のオーケストラ音源やベース音源、ジャズボーカリストの声まで多彩な音色を奏でられる。
演奏方法は従来のアコーディオンと同様。アナログアコーディオンの発音原理を精密にサンプリングした新開発の「Physical Behavior Modeling」(PBM)により、ベローズ(蛇腹)内の微妙な空気の動きを検出し、音色をリアルに再現するという。
右手用音源と左手用音源を別々に選べるため、左手でピアノ伴奏をしながら右手でジャズを歌う、といった“一人セッション”が可能だ。
右手鍵盤数は41鍵。左手ベースボタン数は120。最大同時発音数は128音。MIDI端子やバッテリー充電端子を備えたマルチコネクターや、ヘッドフォン端子、アナログ音声出力端子などを装備する。
消費電力は95ワットで、電源はACアダプタから供給する。FR-7は、付属の充電式バッテリーで最大8時間連続使用可能だ(FR-5のバッテリーはオプション)。FR-7のスピーカー定格出力は25ワット×2。
サイズは480(幅)×205(奥行き)×420(高さ)ミリで、重さはFR-7が11.7キロ、FR-5が9.5キロ。
「いつか、アコーディオンで無数の音源を操りたいと願い続けていた」と、アコーディオン奏者のcobaさんは同製品の発売を歓迎する。
「1983年、世界で始めてMIDIアコーディオンを作ったのは、実は僕。キーボーディストがステージ上で自在に音源を操っているのが羨ましくて、アコーディオンで同じことがしたかった」と打ち明ける。当時、大手楽器メーカーはアコーディオンには見向きもしなかったため、メーカーに勤務する個人の力を借りるなどしてMIDIアコーディオンを開発したという。
「アコーディオンは、日本ではのど自慢の伴奏とか、あまりカッコいいイメージがなくて悔しかった。このアコーディオンが登場することでイメージが変わり、新しい文化が始まるだろう」(cobaさん)。
ただし新製品は「アナログアコーディオンほど自由な音は出せないし、重すぎる」(cobaさん)。今後の進化に期待したいとした。
同社の壇克義社長は、「人間が立って歩けて、これだけの表現ができる楽器は他にはあまりない」とし、新製品をきっかけに、若い人たちにもアコーディオンの良さを知ってもらいと話した。
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