川崎市産業振興会館で10月13日と14日の2日間、「ロボット&レスキューシステム逆見本市」が開催されている。
「逆見本市」というのは、製品を作っているメーカーがブースを作って展示しているところに、そこに部品などを買ってもらいたいメーカーが「そういうものを作っているなら、うちの部品が使えますよ」と商談をするというのが目的の展示会だ。
とはいっても、展示の内容そのものは、普通の見本市と変わりない(*1)。いつもと同じように取材させてもらった。
港湾空港技術研究所のマスタースレーブ方式の操縦システム。海底などで工事をするとき、重機を海底におろしそれを地上から操作するというシチュエーション。デモでは小さなマシンを動かしているけど、実際には大きなパワーショベルみたいなものになる。
濁った水の環境で使うことも多いため、基本的には視覚は使わない。あらかじめ持っているマップデータ(工事現場だから、基本的にはそういうものがあるはず)をディスプレイに映して、それを見ながら作業をする。これだけだと、作業中の状況変化(石を転がしちゃったり、なんか倒しちゃったり)に対応できないので、スレーブのアームについた触覚センサーを使って、マップを更新するということも行う。手探りでマップを作れるわけだ。
また、マスター側にはフォースフィードバックするので、アームで石をつかんだ感覚はそのまま伝わる。操作させてもらったけど、石のごつごつした感じもちゃんとわかった(*2)。
神奈川県産業技術総合研究所はレスキュー用の道具をいくつか展示していた。これは、その中の一つで、棒の先にライトとマイクとスピーカーがついたというもの。
阪神大震災では、救助活動のときに、瓦礫の中からの助けを呼ぶ声が聞こえなかったということが多かったのだそうだ。屋外の(しかも被災現場の)環境では、なかなか小さな声が聞こえないのだ。そこで、この棒を瓦礫のすきまに入れてマイクで音を拾い、ヘッドセットで聞きとろうというわけ。
もし被災者の声が聞こえたら、こちらの声をスピーカーで送れば対話やはげましができる。また「ライトはどちら側にみえますか?」と聞くことで、被災者の位置を絞りこめる。音だけではなかなか位置はわからないのだ。簡単だけど効果のありそうな道具だ。
*1 逆見本市というものが目新しいイベントなので、まだどう展示していいかよくわからないというところもあるようだ。このスタイルが定着してみんな手慣れてくれば展示にも違いが出てくるかもしれない。
*2 わたしの操作はおおざっぱだったようで、係の人を心配させてしまったようだ。すみません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR