一昨年のLP-Z1、昨年のLP-Z2と立て続けにヒットを飛ばした三洋電機が今年年末商戦向け発表したのが「LP-Z3」(以下Z3)である。Z2で評価されていた高い設置性や静粛性をそのままに、「TopazReal(トパーズリアル)」という新技術を採用することで高画質化したという。
昨年のZ2は、設置性の高さ(レンズシフトの幅及び自由度、独創的な壁掛け設置など)や静粛性などで、各社新製品が出そろった現在でも頭ひとつ抜けている。その一方で画質、特に色味に関しては不満が多かったのも確かだ。
果たして「TopazReal」によって、Z3の画質はどこまで改善されたのだろうか?
三洋電機によるとTopazRealを構成する技術は、10ビット映像信号処理、電動アイリス(絞り)、新リアクトモード(シーン適応型ランプ光量制御)の三つだ。順番は逆になるが、後者2要素から説明しよう。
Z2には手動の絞り機構が実装されており、好みに合わせて絞りを変化させ、視覚上のコントラスト感を調整することが可能だった。しかし、手動であるが故、必要に応じて自動的に変化させることができず、使い勝手の面では今ひとつだった。
完全遮光された環境で、グッとシャドウを落とし込んだ絵にしたい事もあれば、周囲の状況が分かる程度の明るさで見たい場合もある。また絞りを最小にした状態で100インチ以上に投影すると、明るい場面では絵に力がなくなる。映像ソースによっては絞りをやや開きたい、ということもある。
アイリス機構の電動化は、こうした場面ごとに適した絞り量のコントロールを実現する。64段階で制御される絞り量を、他の画質設定要素とともにメモリに保存しておき好みに応じて呼び出せる。もちろん、プリセットの各種画質モードとも連動しており、明るさ重視と黒沈み重視のプリセットでは、それぞれ異なる設定がなされている。
アイリスが電動化されたことで、松下電器のTH-AE700と同じようにシーンに合わせてアイリスとガンマ値を最適化させる技術も採用可能だが、三洋電機によると「開発の段階で試してみたが、動的にアイリスとガンマ値が変化するとコマごとの絵がうまくつながらず、破綻するケースが出てくる」との理由で採用を見送ったという。
一方、シーン適応型ランプ光量制御の新リアクトモードは、Z2に搭載されていた機能を改善したものだ。Z2のリアクトモードは、確かにコントラスト感の向上には役立っていたが、冷却ファンの騒音レベルは光量100%のブライトモード時と同じになってしまうという短所もあった。
新リアクトモードは100〜70%の間で光量を調整するリアクトイメージ1と、90〜70%の間で調整するリアクトイメージ2の2モードを用意し、さらにその時点での温度やランプ光量に合わせ、よりきめ細かいファン回転数制御が行われる。
実際、リアクトイメージ2に設定しておけば、常時70%光量で固定されるシアターブラック時(23dB)と騒音レベルはほとんど変わらない。同クラス製品中、音質的にも音量的にも静粛性はもっとも高く、やや離れた場所に置けば存在は全く気にならなくなる。
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