「通信とコンピューティングの融合は現実のものになりつつある。それに伴い、文章や音楽などさまざまなものがアナログからデジタルへシフトしつつある。どんな情報もデジタルになり、インターネットから調べられる。データからもこれは裏付けられている」(ゲルシンガー氏)
ゲルシンガー氏は携帯電話を例にとり、2004年にはデータ対応端末が音声のみに対応する端末の台数を上回るという調査結果を取り上げながら、データネットワークについては、「たまたま音声も流しているという状況だ」と述べる。
PCにおいても、ノートPCについては2006年には96%がワイヤレス機能を搭載するというデータを示し、通信とコンピューティングの融合は完了に近づきつつあるとした。また、同社がオレゴンの研究所で開発しているというWindows XPのフル機能を搭載しているという小型端末も紹介した。
ネットワーク環境の変化も、通信とネットワークの融合を後押しする。2000年にはダイヤルアップが支配的な状況で、ブロードバンドは1割にも満たなかった。無線についてはほぼ皆無であった。
しかし、ゲルシンガー氏の紹介したデータによれば、2004年にはダイヤルアップとブロードバンドがほぼ同じ割合になり、2008年にはブロードバンドが7割に達するという。無線についても、2008年にはより高速な無線接続であるWiMAXの普及も進むだろうと予測する。
通信とネットワークの融合が進み、ネットワークの高速化も進むと、扱うことのできるデータ量も増大する。そのキャパシティをどう生かすかが、今後のポイントになる。
「映画・タイタニックは7年間で7億人が鑑賞したというが、データで配信することができればより利便性は高まり、1年間で10億人が鑑賞することも可能になるだろう。コンテンツベンダーも流通手段としてネットワークを積極的に活用する方向に動いている」(ゲルシンガー氏)
ゲルシンガー氏はそのキャパシティを生かす具体的な方法を「デジタル・ライフスタイル」と総称する。「まずはエンターテインメント。そして学習、コミュニケーションとった分野への活用が考えられる」(同氏)
同社ではDLNA(旧DHWG)の主要参加企業の1社。そのDLNAは今年6月にガイドライン1.0をリリースし、2004年第4四半期には対応製品も各社から登場する予定だ。ステージではオンデマンド映像サービスの「Movielink」から購入した映像を、PCから無線でDLNA対応のSTBへ配信するというデモが行われた。そのほか、e-ラーニングやTV電話などのデモVTRが流された。
「ただし、これだけではない。これから先も見据えている」。ゲルシンガー氏は、より生活に密着したサービスへの取り組みを進めているという。
「いま注目しているのは医療。現在の社会には、高齢化や医療費の高騰、人口の集中など、医療に関してもさまざまな困難がある。しかし、デジタル技術の導入が問題解決の手助けになるかもしれない」(ゲルシンガー氏)
紹介されたVTRでは、高齢の女性の身につけているブレスレットが自動的に体調をモニタリングして家族がその状態をチェックするシーンや、外出先の家族がPDAを使って彼女が処方された薬を飲んだのかをチェックするシーンが映し出された。
同社では、高齢化社会を技術面で支援するための活動「Center for Aging Services Technologies」(CAST)や「American Association of Homes and Services for the Aging」(AAHSA 米国高齢者ホーム・サービス協会)とも協力関係にあるという。
「ゴールは、PCが個人用の医療プラットフォームとして定着することだ」(ゲルシンガー氏)
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