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著作物の管理は「一任」?「非一任」?――議論深まるも結論には至らず

» 2004年11月11日 20時27分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 文化庁 文化審議会著作権分科会 契約・流通小委員会の第3回審議が行われた。前回の審議では、著作権等管理事業法について説明が行われた後に各委員から意見が述べられたが、今回はそれをベースにさらに深い議論が進められた。

 議題に上っている「著作権等管理事業法」は、著作権及び著作隣接権を管理する事業に関して登録制度を実施し、管理委託契約約款及び使用料規程の届出と公示を義務づけることによって、著作権及び著作隣接権の管理を委託する者を保護するもの。

 つまり、一定の要件を備えて文化庁に登録さえすれば、JASRACのように著作権の管理や利用許諾契約等を行えるのがこの法律だ。また、「委託者が受託者による利用許諾に際し使用料額を決定する(つまり、使用料の額を著作権者自身が管理する)」場合には「非一任型」といわれて同法の対象とならず、個別契約を代理する業務を行うことも可能になっている。

 内容的に近い法律としては以前から仲介業務法が存在していたが、著作物・著作権を取り巻く環境の変化を受け、同法が平成13年10月に施行されることになった。

 ただ、同法と仲介業務法は大きく異なる部分も多いため、附則の7条で「施行後3年が経過した場合において必要ある場合には検討すること」と規定されており、これが今回の審議において大きなテーマとなっている。

 前回、委員から同法について述べられた意見を大きく分けると「規制の対象となる事業の範囲」「登録手続きと指導監督」「管理事業者に対する規制」「使用料規定関係、協議・裁定制度」「その他」に分類される。なかでも今回議論が集中したのは「規制の対象となる事業の範囲」に含まれる、「規制対象を拡大する必要があるのか(非一任型の規制について)」という点だ。

 前述したように非一任型は著作権等管理事業法の規制対象となっていない。これは、非一任型は著作物の使用料や許諾条件の決定が著作権者に委ねられているため、「自己管理と同視しうる」とされているからだ。

 反対に、一任型では使用料や許諾条件を最初に取り決め、基本的には変更は許されない。また、非一任型では著作権者が自身の著作物を利用してほしくない場合には、その停止を求めることができるが(出版停止など)、一任型の場合には正当な理由がなければ停止の要求などに応じる必要はないとされている。非一任型の方が、より著作権者の意向に近い運用が可能といえるだろう。

 しかし、現実において著作権者と著作隣接権者とのパワーバランスはイコールではない。このため、今回の審議においても「非一任型が(一任型の)隠れみのになっているのでは」という厳しい指摘が出されたほか、「(非一任型まで対象としてしまうと)著作物ならなんでも規制する、ということになりかねない」「実際問題として、非一任型でないと保護できないものもある」といった意見も聞かれた。

 さらには「登録の手続きが煩雑だと、登録制度自体が機能しなくなってしまう」「利用者が混乱しないような制度・運用が第一では」と根本的な理念の再確認を求める声も出て、第3回審議は2時間の審議時間では予定されていた議題を消化できないほど、意見が百出していた。

 小委員会では12月の第4回審議、来年1月の第5回審議を経て、来年1月には流通・契約小委員会として、著作権分科会に審議内容の報告を行う予定となっている。

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