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ただ今、急成長中――カシオが語る、これからの電子辞書のあり方インタビュー(2/2 ページ)

» 2004年11月15日 11時34分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 「エクスワードを企画する際に気を付けていることは、“専用機”であるということです。辞書を引くという用途に特化しているわけですが、特化したために使いにくくなってはダメなんです。キー配列や画面表示など、マニュアルを見なくてもある程度は使えるようにしています」(八木氏)

 そうして完成度を高めた各社の電子辞書は、第一の成熟期ともいえ時期に達したといえる。「広辞苑+英和+和英」というコンテンツは既にほとんどの電子辞書に標準搭載されており、最近では「英英」や英語以外の言語辞書をプラスしたモデルが売り上げを伸ばし始めている。

 これは「電子辞書」という製品自体の完成度があるレベルに達し、ユーザーが「より自分のニーズにあった電子辞書」を求めてるいるからではないかと考えられる。

これからのプラスαは?――あくまでも“道具”としての発展を

 「より自分の志向(使い方)にあった電子辞書」へとユーザーニーズが変化している今、各社がそうした製品を企画・投入することは当然としても、“電子辞書”という製品ジャンルが次に向かう方向性はどういったものなのだろうか。

 シャープは同社の強みである液晶技術を活用するべく「PW-C8000」のようなカラー液晶搭載を新機軸として打ち出し、ソニーはEBR-S7MS/S8MSのようなコンパクト/多言語という基軸を打ち出した。

 「これから発展させてていきたいのは“音声”と“コンテンツの拡張性”です。搭載されているコンテンツを音でも確認できれば外国語学習にも有効ですし、コンテンツの拡張に対応していれば『イミダス』や『現代用語の基礎知識』のような毎年更新されるコンテンツを、常に最新の状態にしておくこともできます。それに、自分の学習レベルにあわせて辞書を追加していくという使い方もできると思います」(八木氏)

 同社が2003年から展開している「エクスワード データプラス」シリーズは、本体に空きメモリ容量があり、CD-ROMからUSBを経由して複数の辞書を追加することが可能になっている。また、空のSDカードを本体メモリと同様に扱い、そこに辞書を収納することもできる。本体・SDカードに追加した辞書は、ともに内蔵されている辞書と同様に扱うこともできる。

 「CD-ROM(USB経由)でコンテンツを追加すれば、複数の辞書を自由に組み合わせて使うことができますが、転送の手間はかかります。そこで、コンテンツの入れ替えにはカードの差換えが必要にはなりますが、PCを持っていないユーザーに向けに、辞書データ入りのカードも用意しています。コンテンツの提供形態として、CD-ROMとデータカードの2つを用意しているのは、電子辞書に求められる専門性と手軽さを両立させようという考えからです」(八木氏)(*)

(*)すべての追加コンテンツにCD-ROMとデータカードの両方が用意されているわけではない。専門性の高いもの(医学大事典や理化学英和辞典)や毎年アップデートされるもの(イミダスや現代用語の基礎知識)はCD-ROMでのみ提供されている。詳しくはエクスワードのWebページを参照のこと。

 液晶のカラー化、本体の小型化、多言語対応、搭載コンテンツの拡張。各社の電子辞書は、紙の辞書では実現し得ない、電子辞書ならではという特長を生かす方向で進化を続けている。そして、そのさらに先にある進化の方向性とは何だろうか。

 「電子辞書にできなくて紙の辞書にできることしては、“ページを見開いたときの一覧性”や“書き込みできること”などかと思います。こうした紙の辞書ならではのメリットもあるので、両者をうまく使い分けていくのが望ましいあり方だと思います。電子辞書に関して言えば、使った分だけ、自分の身に付く“道具”としての発展を目指していきたいと思います」(八木氏)

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