今年後半、国内で大きな注目を集めた大画面テレビが「プロジェクションテレビ(PTV)」だ。
50インチ以上の大画面を気軽に楽しめるPTVならではのコストパフォーマンスの高さ、以前に比べて大幅に向上した画質などから、欧米では昨年から大ヒット商品となっていたが、これまで国内の家庭用PTVでは、ソニー1社が2世代前のモデルを細々と販売しているぐらいの小さな市場だった。
だが、今年5月にセイコーエプソンが「LIVINGSTATION」を国内に投入して市場を活性化。その後は、三洋電機が国内向けPTV(12月発売)発表したり、三菱電機が今年度内のPTV発売を表明したほか、ソニーや日本ビクターも北米向けPTV新製品を国内メディアや展示会を通じてアピールするなど、ここ数カ月で急にPTV市場がにぎやかになっている。
PTVの原理は、ライトバルブ(表示デバイス)を組み込んだ光学エンジンを使って、内部で投射した映像をスクリーンの後ろから投影させるというもの。“プロジェクションテレビ”の名が示す通り、プロジェクターが中に入ったテレビなのだ。
“リアプロTV”と呼ばれていた以前のPTVは、大画面だが本体も巨大でブラウン管テレビに比べて暗くてフォーカスが甘かった。これは従来のPTVがライトバルブにCRT管を使ったCRT方式だったためだ。
3管のCRT方式では、それぞれの映像を集結させるためにある程度の投射距離が必要で、エンジン自体が大きくなり、奥行きや“ハカマ”と呼ばれる本体内下部の部分が大きくなっていた。非常に大きく重たかったことから、家屋の狭い日本では受け入れられなかったのだ。
だがマイクロデバイスを使った近年のPTVは、CRT方式に比べて画質が大幅に向上しており本体サイズも半分ぐらいになった。例えば、LIVINGSTATIONの57V型では奥行きが41.3センチしかなく、ブラウン管テレビの21型〜25型よりも薄くなっている。つまりプラズマ/液晶など薄型テレビと同様に、今あるブラウン管テレビのスペースに置けてしかも劇的な画面サイズアップが可能になるわけだ。ちなみに、57V型の画面サイズは25型テレビでは約6画面分になる。
ハイビジョンテレビの最適視聴距離は画面の高さの3倍といわれている。57V型なら約2.1メートル(画面の高さ71センチ×3)あればいいので、コーナー置きなら8畳間、壁に沿って置くなら6畳間のリビングでも十分に最適視聴距離で楽しめるのだ。
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