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「スゴ録」をさらにスゴくした「CXD4702BG」て何?インタビュー(2/3 ページ)

» 2004年11月30日 21時51分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 CXD4702BGの採用で実現されたのが、高画質化回路の「スゴロジック」だ。複数の高画質化機能を組み合わせた総称だが、消費者にわかりやすくという意味でネーミングに深い意味を持たせていないのだという。

 「スゴロジックのコアとなる“DマトリックスNR”では、ノイズリダクションの強弱を動的に変更する仕組みを取り入れました。例えばノイズが多くなりがちな低ビットレートの映像では、ノイズリダクションを強めに機能させると全体に見やすくなりますが、映像の動きが少なくビットレートが必要十分なシーンでもいわゆる甘い画質になってしまいます。そこでビットレートと映像の動きに合わせて最適になるよう、ノイズリダクションの強弱を変化させています」(新田氏)。

 「3つのノイズリダクションの強弱を独立して変化させているのも特徴です。静止画としての情報量に対してビットレートが足りない場合にはモスキートノイズが目立ってしまうのでMNR(モスキートノイズリダクション)を強く、動きに対してビットレートが足りない場合には、ブロックノイズが目立ってしまいますからBNR(ブロックノイズリダクション)を強くという感じですね。不必要にノイズリダクションを使用しないことで、シャープさと見やすさを両立しているんです」(ソニー、ホームエレクトロニクスネットワークカンパニーAVシステム設計部5課の小林博氏)。

photo ソニー、ホームエレクトロニクスネットワークカンパニーAVシステム設計部5課の小林博氏。「ハイバンドベータ」以来、画質重視の録画機開発に携わってきた技術者だ
photo DマトリックスNRの概念図。3つのノイズリダクションの強弱を独立して変化させることができる

 なるほどDマトリックスNRはノイズリダクションとしては非常に良くできたロジックだ。しかし、CXD4702BGが存在しなければ実現できなかったのだろうか。

 「エンコード、デコード、高度なノイズリダクション機能が1チップ化したメリットは実は大きいんです。これらが別チップだと、エンコード前、デコード後の映像信号のみがノイズリダクションを強弱を決める判断材料になってしまいますが、1チップ化したことで今まで得られなかった情報も引き出して利用できます。つまりDマトリックスNRは、CXD4702BGだからこそ実現した機能ともいえますね」(新田氏)。

CXD4702BGで録画性能も強化

 CXD4702BGの採用は、もちろん録画性能にも反映されている。録画時のビットレートはより可変幅が大きくなり、シーンに応じてより最適なビットレートを配分することを可能にした。これは、録画時に映像の情報を分析しておき、この情報を元にダビング時に最適な再エンコードを行う「ダイナミックVBRダビング」でも、さらなる高画質化を実現している。

 また新スゴ録で注目したいのは、テレビ放送の録画時にもノイズリダクションを積極的に活用している点だ。

 「ノイズリダクションは万能ではなくて、ノイズと一緒に本来の情報もある程度失ってしまいます。従って、一般論としてはできるだけ“素”の映像を録画し、再生時に必要に応じてノイズリダクションを利用するのが理想的と言えます。

 しかし、デジタルレコーダーではMPEG圧縮を行うので、映像のノイズ成分は全体の画質に影響します。ノイズも情報として限られたビットレートの中に圧縮するからですが、そこで録画時には専用のFNR(フレームノイズリダクション)を準備し、できるだけ映像中のノイズ分を排除してからエンコードします。

 もちろん、映像の状態に応じてノイズリダクションの強弱は最適に変化します。電波の受信状態があまり良くない場所では、とくに効果が大きいはずです」(小林氏)。

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photo スゴ録(左)と他社製レコーダー(右)の録画映像と、それを拡大したもの。TV画面をデジカメで撮影したため参考程度にしかならないが、斜めの電線には違いがはっきり出ている

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