ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は12月12日、PSPを日本で発売し、携帯ゲームへの参入を果たした。発売時には数千人が徹夜で並び、初期出荷の20万台は半日もしないうちに売り切れとなった。
発売の2日前、SCEIの最高技術責任者(CTO)である茶谷“マサ”公之氏はPSPに関するIDG News Serviceとのインタビューに応じた。
――ソニーは20万台を初期出荷用に用意してその後の3週間で1週間当たり10万台を生産するということだが、来年の生産計画と、欧米でのローンチ予定は?
茶谷氏 欧米その他の地域に向けた準備は既に進めており、欧米では今年度末の3月末までに立ち上げる計画で、そのスケジュールを達成すべく努力しているところだ。
――ハンドヘルド市場はソニーにとって新しいものだが、最大の問題点は何だったのか?
茶谷氏 PSPはバッテリー駆動だ。技術的な障害は克服しており、長時間動作可能なバッテリーを作った。
――設計における最大の問題はバッテリー持続時間ということか?
茶谷氏 当社のPSPは非常に高性能のアーキテクチャーを採用しており、通常はこういった高性能CPUには多大な電力を必要とする。電力消費を最小限に抑えるための、より高度な電力コントロールメカニズムを作ることで、プレーおよびムービー再生で4時間から6時間持続することを可能にした。
――バッテリー持続時間はゲームに依存するのか?
茶谷氏 ゲームにはディスクアクセスを多用するもの、WiFi接続を使うものがあり、その場合にはより多くの消費電力を必要とする。
――ディスクアクセスをとWiFiを多用したゲームをプレーした場合には約4時間ということか?
茶谷氏 そう。約4時間だ。
――オーディオおよびビデオ分野についてはどのような計画か?
茶谷氏 さまざまなデジタルコンテンツパブリッシャーと話し合いをしている最中だ。ハリウッドの映画会社、ニューヨークの音楽レーベルも含まれる。彼らはPSP上でコンテンツを提供することに興味を抱いている。彼らは既にDVDでコンテンツを持っており、PSPに持ってくるのはたやすいので、大きなチャンスがある。
――UMD(Universal Media Disc)という新しいフォーマットはなぜ必要だった?
茶谷氏 簡単に言ってしまえば、このデバイスのための最適なメディアがなかったので、自分たちで作ってしまうことを考えた。また、新しいメディアに関しては、より強力なコピー保護機能が必要だと分かった。
――リージョンコードはあるのか?
茶谷氏 技術的にあるかどうかと言えば、一定のリージョンコード機構は実装してある。しかし、ゲームに関しては実装する予定はない。
――周辺機器の予定は?
茶谷氏 E3でいくつかのプロトタイプは展示した。USBカメラ、GPS、電話アダプター、マイクロフォンヘッドセット。これらはまだ発表していない。いくつかは開発中だ。PSP版のEyeToyライクなアプリケーションは計画している。
――PSPの設計上で最も頭を悩ませたものは?
茶谷氏 最大の問題は、ハードウェアエンジニアが直面していたものだと思う。ドライブの厚みとバックライト付き液晶の厚みは、PSPのトータルな厚みと同じなので、この薄いコンフィギュレーションで別のハードウェアを入れ込むのは非常に困難だった。それに、バッテリーも巨大だ。ハードウェア設計には数多くの制限が加えられている。
――実際にプレーできるようになったのはいつごろからか?
茶谷氏 私はたくさんプレーしている。ローンチ時に発売されるタイトルはすべて非常によいものだが、デベロッパーは2、3カ月しか開発期間をとれなかった。ハードウェアツールを提供できたのは去年の夏以降だった。それ以前にはエミュレータを開発しなければならず、適切なパフォーマンスを得ていなかった。
――最初のエミュレータが提供されたのはいつ?
茶谷氏 去年の冬だったが、能力的には非常に制限されたもので、フル機能ではなかった。例えば(H.264)AVCは出来ていなかった。システムの非常にシンプルなサブセットで、UMDドライブエミュレーションもなかった。ハードウェアエミュレータを提供したのは7月のことだ。
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