先週、かねてより噂されていた1インチHDD搭載携帯音楽プレーヤー「H10」をiRiverが発表した。HDD搭載携帯音楽プレーヤーの市場はアップルiPodの独壇場で、それ以外の製品はごく僅かと言われる。しかし、その中でiRiverは健闘しており、ソニー並のシェアを獲得している。
元々はフラッシュメモリ搭載の携帯音楽プレーヤーで身を立ててきた同社だが、米国での好調な販売を背景に部品調達のスケールメリットを出し、ソフトウェア開発にも力を入れることでアップルに次ぐ地位を確固たるものにするつもりだという。
ソニーなどは“MDに比べればまだ市場は小さい”と主張するが、米Appleに加えて韓国iRiverの活動からすれば、市場の動きはさらに加速度を増すかもしれない。iRiverは来年、今年の4倍に相当する広告費を投入し、一般ユーザー層への認知を高めることに力を注ぐ。
ITmediaの読者ならば、MP3などのデジタル技術で圧縮した音楽を聴けるデジタル音楽プレーヤーの方向に、世の中が一気に動いていると感じている方も多いだろう。しかし市場は、そこまで急激に展開しているわけではない。
携帯型音楽プレーヤーにおいて中高生を中心としたMDユーザーの層は厚く、市場の中でもっとも大きな存在となっているのは、やはりMDだ。しかし、その存在感は徐々に薄れ始めている。小型化や長時間駆動、録音時間などの進化が止まっている(HiMDは例外だが、HDDなどに比べれば従来機と劇的な変化はない)ため、徐々にMD市場は縮小している。そうした状況を端的に表しているのは、量販店における各種プレーヤーの扱いだ。
以前はデジタル音楽プレーヤーはポータブルオーディオ機器とは別の場所に置かれることが多かった。録音や録音後のコンテンツ管理にPCが必要なデジタル音楽プレーヤーは、手離れが悪く売りにくい製品というのも理由のひとつだった。しかしデジタル音楽プレーヤーの認知が広がるにつれて状況は改善され、現在ではMDプレーヤー売り場をデジタル音楽プレーヤーが浸食するに至っている。
デジタル音楽プレーヤーは、MP3再生が可能な携帯型CDプレーヤーが市場の約15%を占め、残りをフラッシュメモリ型とHDD型がほぼ半々に分け合う形になっている。デジタル音楽プレーヤー全体が160万台市場といわれており、15%というMP3対応CDプレーヤーなどを勘案すると、約68万台がフラッシュメモリ型デジタル音楽プレーヤーということになる。
アイリバー・ジャパン社長の遠藤信久氏によると、フラッシュメモリ型の出荷はiRiverだけでも2004年に22万〜23万台に達するという。実はソニーなどMD市場に強いベンダーは今年前半、デジタル音楽プレーヤー市場全体を60数万台程度と予測するコメントをしていた。しかしiRiverのフラッシュメモリ型出荷実績だけで20万を超えると、計算が大幅に合わなくなる。
遠藤氏はこの件について「我々自身が予想していた値も超えて売り上げが伸びた。1年前、我々の製品を取り扱う店舗は300に過ぎなかった。ところが今や1700店舗を数える。今後、オートバックスやイエローハットといった車用品店での扱いも増加する見込み」と話す。その売り上げは1年前の10倍規模にまで成長した。
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