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「絶対ブレイクする」――電子書籍が飛躍するためのカギとは?(1/2 ページ)

» 2005年02月02日 22時58分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 離陸が近いといわれながらも、なかなかブレイクの兆しが見えない電子書籍。だが、電子書籍配信サイト「eBookJapan」を運営するイーブック イニシアティブジャパン(以下 イーブック)の高嶋晃取締役は、「来年、再来年には安定成長期に入る」と自信を示す。

photo イーブック イニシアティブジャパン 取締役の高嶋晃氏

 イーブックは2000年5月に設立され、現在ではEBI.J形式の電子書籍を配信している。純粋な一般向け配布以外にも、図書館利用者が館内のPCで電子化された書籍を閲覧できるサービスや、海外駐在の邦人に対して週刊誌を電子化して提供するなど、多様な展開を見せている。

 無料配布しているリーダーソフト「ebi.J Book Reader」の最新版にはパブリッシングリンクの電子書籍サイト「Timebook Town」が配布しているΣブック形式の電子書籍も読むことができる。

 「電子書籍は画像も多く含むため、コンテンツ配信するにはブロードバンド環境が欠かせない。今の日本にブロードバンド環境を備えた世帯が1800万世帯あると考えれば、現在の利用率は数%に過ぎない数字ということになる」

 高嶋氏は環境面の整備が進んでいる現在でも、電子書籍の現状が“ブレイクした”というにはほど遠い状況であることを認める。しかし、「絶対にブレイクするはずだ」という。その自信はどこから来るのか。

ブレイクのカギは習慣化

 「なぜブレイクするかといえば、(読むという行為は)習慣化するものだから。コミック“北斗の拳”は配信開始後半年で10万というダウンロード数を記録しており、ユーザーのリピート率も高いということが分かった」

 何らかのきっかけで電子書籍に触れてもらえれば、継続して読んでもらえる、と高嶋氏。特に、文庫などに比べて読むのに時間がかからず、巻数が多くなることの多いコミックの場合にはその傾向が顕著だそうだ。「北斗の拳」(全27巻)や「静かなるドン」(現在65巻まで配信中)などのダウンロード数が好調な理由について高嶋氏は「1冊を購入したユーザーが最終刊まで買ってくれているのではないか」と分析する。

 新しいメディアが登場した時、アダルトコンテンツがけん引役となることが多いが、電子書籍ではあまりユーザーからの支持を得られていないという。「アダルト系の売り上げは5%前後。そのほかの週刊誌やマンガ、文庫などが残りの95%を占めている」

 「コミックの配信点数は現在4000点ほどだが、北斗の拳を始め、1万ダウンロードを突破した作品も多くみられるようになってきた。これまで“売れない”と言われてきた電子書籍だが、コミックだけをみればここまで来た。紙に比べれば1%以下の話だが、突破口になりうる」

 「ΣBookやリブリエなど読書端末の改良・低価格化が進むだろう来年、再来年ごろからは安定成長期に入るのではないか」。高嶋氏の口調は軽やかだ。

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