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「絶対ブレイクする」――電子書籍が飛躍するためのカギとは?(2/2 ページ)

» 2005年02月02日 22時58分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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「習慣化を狙うためには、より敷居を下げなくてはならない」

 習慣化させる以前に問題となるのが、電子書籍というものへの認知度だ。同社ではソースネクストと提携、昨年12月から「北斗の拳」「キャッツ・アイ」「シティーハンター」「包丁人味平」「恐怖新聞」など、同社が配信しているコミックをCD-ROMで販売している。

 こうしたCD-ROMなどのメディアを利用せず、インターネット配信でコストを下げられるのは電子書籍の大きなメリットだが、このメリットを捨ててまで得るものもあると高嶋氏は言う。

 「ソニー、松下、東芝などの大企業ならばともかく、知名度が低い(とユーザーが感じる)企業へクレジットカードの番号を通すことには抵抗があるはず。不安なネット決済を使わずに電子書籍を楽しむためには、CD-ROMという形が必要だと考えた」

 インターネット配信で得られるメリット(コスト削減や入手性)を犠牲にしてまでも、まずは電子書籍がどういったもので、安心して楽しめるものであることを伝えなくてはならない、という同社の判断が伺える。同時に、パッケージとして店頭に並ぶことによる、認知度アップも狙いだという。

 電子書籍の購入者は30〜40代の男性が中心と言うが、「東洋文庫 風景写真集」の購入者は7割以上が50歳以上であり、また、「ある電子書籍サイトでは7対3で女性が多いというデータもある」(高嶋氏)という例もある。幅広い層へ存在をアピールしながら、“クセになる”コンテンツを提供していくこと――遠回しなアプローチ方法のようにも思えるが、電子書籍のブレイクには地道な努力が必要なのかもしれない。

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