東京ビッグサイトで開催中の東京国際ブックフェアブックフェアのセミナーに、シャープ情報通信事業本部の谷口実副本部長が登場、同社の電子ブックに対する取り組みについて話した。
シャープが東京国際ブックフェアで、最初に電子ブックを披露したのは1999年。光文社のブースにザウルスを置いてひっそりと展示していたという。
それから5年たった今、電子ブックが脚光を浴び始めている。松下電器(2003年10月の記事参照)やソニー(4月14日の記事参照)、東芝(4月22日の記事参照)が「読書専用端末」を開発するなどハードウェア面の環境も整い始め、当初は著作権切れの作品や絶版本が多かったコンテンツも、今では新刊と同時に電子書籍化されるものも増えている。
ハード、ソフトの両面から普及に向けたアプローチが進み、「2004年は(電子書籍にとって)大事な時期になる」と、シャープ情報通信事業本部の谷口実副本部長は話す。
早い時期から電子ブックに取り組んできたシャープだが、専用端末開発の話が聞こえてこないのは、誰もが関心を持つところだろう。谷口氏は「読書専用機は、実はいつでも出せると思っている」と、参入の考えがあることを明らかにした。
電子ブック市場が一定の規模に達したときに、満を持して投入したい考え。最新のデバイスを使ったカラー液晶のモデルで参入すべく、研究や評価を続けているという。
今年のシャープの電子ブック戦略は、同社が推進する電子書籍フォーマット「XMDF」(用語参照)を、より多くのプラットフォームで使えるようにすることと、各プラットフォームの特性に合わせたコンテンツを提供することだ。
シャープはこれまで、PCやPDA向けにXMDFビューワを提供してきたが、2003年には対応プラットフォームを携帯電話や同社製の電子辞書にも拡大(2003年4月の記事参照)。今年はファクシミリの「UX-W55CW」やハイビジョン対応液晶テレビ「AQUOS」(1月26日の記事参照)にも対応させた。
閲覧するプラットフォームによって、楽しめるコンテンツも異なると谷口氏は説明。AQUOSを使ったデモでは、リビングでみんなで楽しめる英語学習ソフトや絵本コンテンツを紹介した。「パーソナルなものから、みんなで楽しむものへ──。プラットフォームを広げることで、読書の新しいシーンを提供したい」
プラットフォームが広がれば、それに合った新しいメディアが生まれ、出版コンテンツもより活性化できると谷口氏。電子ブックフォーマットが乱立する中、出版社が安心してコンテンツ開発ができるよう、他のフォーマットで開発された電子ブックをXMDFに、またその逆も可能なコンバータの開発にも取り組んでいる。
「今、TTXフォーマットを採用しているボイジャーと、XMDFからTTXへ、TTXからXMDFへと変換しやすくするための方法について、話し合いをしている。XMDFだけにこだわっているわけではなく、主流になる可能性があるフォーマットがあるなら、それらをコンバートしやすくするコンバータのようなものも開発していく」
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