IBM、Sony Computer Entertainment(SCE)、東芝の研究者らが2月7日、待望の「Cell」プロセッサを披露し、「スーパーコンピュータ・オン・チップ」と表されるマルチコア・マルチスレッドゲームエンジンを明らかにした。
3社はサンフランシスコで開催の国際固体素子回路会議(ISSCC)で、4年をかけたCellプロジェクトの技術的な詳細情報の一部を初めて公表した。CellはソニーのPlayStation(PS)3に搭載される見込みで、その性能は現行PCプロセッサの10倍にも達するはずだと3社は述べた。
7日に披露されたCellのプロトタイプは、64ビットPowerPCプロセッサコア1基と、「Synergistic Processing Unit(SPU)」と呼ばれる8基の処理コアで構成される。これらのコアは仮想化技術を通じて複数のOSとプログラミングモデルをサポートできると、Cell技術設計センターの技術ディレクターでIBMフェローのジム・カール氏は説明した。
半導体企業は近年、シングルコアプロセッサの性能が頭打ちになるにつれ、マルチコア設計に目を向けている。シングルコアプロセッサでも、同時に複数の命令スレッドを処理するよう設定できるが、結局性能を高めるためには動作速度を上げなくてはならず、それによって熱が発生する。マルチコアプロセッサは複数の命令を平行して実行できるため、同時に複数の別々の命令スレッドを処理できる。マルチコア設計への移行により、半導体設計者は製品からさらなる性能を引き出すと同時に、消費電力と放熱を抑えることができる。
Cellの設計者は、クロック周波数と並行処理の両方を推進する方法を見出したとカール氏は語った。Cellは4.5GHz以上で動作可能だが、最終的な製品のクロック周波数がどのくらいになるかは決まっていない。このプロセッサはPS2で使われているのと似た空冷設計と連係するという。
Cellの消費電力はおそらく30ワット前後で、PS2のEmotion Engineプロセッサと同程度になるだろうとEnvisioneering Groupの技術アナリスト、ピーター・グラスコウスキ氏は語る。これはIntelのPentium Mの消費電力と同程度だ。
カール氏の説明によると、デュアルスレッドPowerPCコアは8基のシングルスレッドSPUの制御プロセッサとして機能し、SPUは負荷の高いタスクの大半を処理する。SPUは、グラフィックス処理やスーパーコンピュータアプリケーション(地震モデリングなど)に重要な浮動小数点演算向けに設計されている。
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