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次世代光ディスクは“10年”の視野で取り組む――松下電器のスタンス連載:次世代DVDへの飛躍(3/4 ページ)

» 2005年02月13日 11時21分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 また、BDを用いたパッケージメディアを製作する際に必要不可欠なオーサリングシステムも既に開発済みだ。BD-ROMのビデオフォーマットは、まだ正式な仕様が決定していないが、Javaのサポートなど一部不確定な要素を除き、オーサリング作業を進められる状態になっている。松下製のオーサリングツールは、BDとDVDの両方のメニューやユーザーインタフェースなどの構築を同時に進めることが可能。マスタイメージ作成時に、ターゲットメディアを指定すると、BDもしくはDVDのボリュームイメージができあがる。BD-ROMのビデオフォーマットが確定する春には、最初のバージョンが完成する見込みで、今年の秋から冬にかけてはJavaなどのインタラクティブ機能を組み込んだバージョン2がリリースされる。

 こちらに関しても、DVDオーサリングツール大手のソニックソリューションズが技術供与を受けて製品化する。両社の提携は1月の2005 International CESで発表された。CES会場では表向きの展示は行わなかったもののの、会場近くのスイートルームではソニックソリューションズが松下電器開発のオーサリングツールを自社製品として、招待客に披露していた。

 最後は、松下電器がDVD+Rを、ヒューレット・パッカードがDVD-RAMを、それぞれサポートし、光ディスク関連事業で今後も協力を進める提携を発表したこと(DVD+RWはこの中に含まれていない)。松下電器は赤色レーザーダイオード世代での互換性問題に終止符を打ち、青紫レーザーダイオード世代における事業の地盤固めを進めたいとの気持ちがある。

 松下電器の動きは、ここしばらくの次世代光ディスクの動きからすれば地味なものかもしれない。しかし、じっくりと地固めを行いながら普及を進める同社の戦略には合致しており、今後もBDのビジネス基盤を腰を落ち着けて背後から支えるつもりのようだ。

“BDワールド”を作るのがわれわれの目標

 一方、ハリウッドで常に映画スタジオとのコミュニケーションを取っているPHL所長の末次氏は、HD DVDを支持する映画スタジオが中心になって89ものタイトル発売を明言したことについて「HD DVDはコンテンツベンダー中心で市場を立ち上げようとしている。それにしては89というタイトル数は少ない」と評価した。

photo パナソニック ハリウッド研究所(PHL)所長の末次圭介氏

 末次氏は、昨年の取材時には、DVDコンテンツ製作を請け負うDigital Video Compression Corporation(DVCC)という組織に所属していた人物である。DVCCは,、DVD初期の段階からハリウッドの中でDVD制作の仕事を行ってきた。実は末次氏自身、DVD制作のエンジニアを経て現在の役職に就いており、DVDビジネスの現場とのパイプは太い。

 同氏がこれまでに手がけてきたコンテンツは、いずれもその年代ごとの高画質DVDとして知られたものばかり。1998年の「アポロ13」、1999年の「恋におちたシェイクスピア」、2000年の「エリン・ブロコビッチ」などが代表作だ。近年はマネージメント業務が多かったようだが、一線を退いてからも映画スタジオや監督から“ご指名”がかかることも少なくなかったようで、昨年日本でも発売された「スター・ウォーズ エピソードIV」の北米版は、末次氏が圧縮を担当している。

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