ITmedia NEWS >

Universalに聞く――HD DVDを選んだ理由とは?連載:次世代DVDへの飛躍(2/5 ページ)

» 2005年02月15日 12時24分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「HD DVD支持を発表した時点でのコストパフォーマンスを判断した結果、あのタイミングではそうした選択となりました」。

 と、ここまで話が進むと、ピアース氏は質問を遮って、次世代光ディスク規格が分裂しようとしていることについて、自分の考えを話し始めた。

 「しかし、この記事を読んでいる消費者の皆様には、規格争いなどに興味を持つのではなく、単純に素晴らしい映像を楽しんでほしい。それが願いです。もうすぐ、誰もがHD映像を楽しめる時代が到来します。HDTVは必ず全米に普及するでしょう。そのHDTVのインフラにおけるビジネスを、少しでも優位にしようとさまざまな動きがあります。しかし、それはハリウッドという狭い世界で起こっていることであって、消費者には可能な限り影響を与えないようにしたいと思います」。

容量の違いは選択肢を決める要素ではなかった

 「BDもHD DVDも、両規格ともに画質は本当に良い。また、両方とも大容量をわれわれにもたらし、両方とも新しいインタラクティブ機能を備え、インターネットとの接続機能もあります。機能的には、両者の差はほとんどないと言って差し支えないでしょう。また、両フォーマットは、いずれも十分な強度のコピー保護技術を採用しようとしており、ともにパソコンやホームエンターテイメント向けの良いソリューションを持っています。このいずれかに選択することは、正直に言えばたいへん難しい。なにしろ違いはほとんどないのですから」。

――ほとんど差がない中で、コストの違いで選んだことになります。しかし、複製コストは量産体制によっても大きく変化するでしょう。コストがどの程度違うと考えたのでしょうか?

 「具体的な金額での決定ではありません。現在、わかっている情報や各社のデモを見る限り、0.6ミリカバー層のHD DVDは、より確実に技術的展望が見えています。0.6ミリカバー層の物理的な構造が、コスト面で有利なことは明らかです。一方、BDの方は、将来的な展望はあっても、確実に問題解決できるという証拠を用意できませんでした。消費者にとっても、コストが安くなることは最終的なメリットになります」。

――まだ次世代光ディスク、それもパッケージコンテンツに関しては、市場には全く何も投入されていません。市場の立ち上がりはまだ先のこと。それにも関わらず、現時点でのコスト比較をするのはなぜなのでしょう?

 「2007年ぐらいから、DVDの売り上げは徐々に下降線を辿るといわれています(北米市場)。それまでにはHD映像コンテンツの市場を作っておきたい。そのためにも、2005-2006年には事業を開始したいのです。そこから逆算すると、昨年末の時点で態度を明らかにして、取り組まなければ間に合いません。二つの標準に対して同時に作業を進めるわけにはいきませんから、作業を進める上でいずれかを選択する必要があったのです」。

――BD-ROMは、1層あたりの容量がHD DVDよりも大きい。これは消費者に対してコスト分のメリットはもたらさないのでしょうか? それは映画スタジオにとっても魅力ではありませんか?

 「パッケージコンテンツの魅力を引き出す上で、両社の容量差はさほど重要ではありません。どちらも同じ映像コーデックを持っていて、それは大変に良い圧縮効率です。ROMの最大容量が30Gバイトか、50Gバイトか、という議論は実は重要ではありません。その理由は、50GバイトBD-ROMのコストに関係しています。われわれは50Gバイトの2層BD-ROMが経済的に製造できるとは考えておらず、25Gバイト対30GバイトでHD DVDの方が大容量と考えています」。

――HD DVD-ROMの30Gバイトという数字は映画スタジオにとって、“ちょうどいい”〜つまり満足ではないが、十分なものなのでしょうか? それとも“もうそれ以上は不要”なほど、十分なものなのでしょうか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.