日本電信電話株式会社(NTT)は2月18日、人の体の表面を伝送経路とする“ヒューマンエリア・ネットワーク”技術「レッドタクトン」(RedTacton)を発表した。触れる、握る、歩くといった人の自然な動作をトリガーとした最大10Mbpsの双方向通信が可能になるという。既にPCカード型のプロトタイプを開発済みで、4月から実証実験を行う。
レッドタクトンは、電波や光ではなく、人の体などの“表面電界”を利用する通信技術だ。導電体・誘電体であれば伝送媒体の素材は選ばず、人の体のほか、動物、水、金属などを伝送路として利用可能。机や壁など、身近にあるものを使い、手軽かつ低コストで通信環境を形成できるのがメリットだ。
送信機は「RedTactonデバイス」と呼ばれ、体の表面に微弱な電界を誘起する。電界が受信機の「RedTactonレシーバー」に到達すると、電気光学結晶の光学的性質を変化させ、その変化の度合いをレーザー光で検出、受光回路で電気信号に変換するという。伝送速度は環境にもよるが、「フォトニック電界センサーの採用により、最大10Mbpsの速度で双方向通信が可能だになった」(同社)。
“触れる”ことをトリガーにして通信を開始するRedTactonは、One-to Oneサービスの手段、情報機器の操作など、幅広い応用が検討されている。たとえば、携帯端末(PDAなど)を持った状態で薬ビンに触れると、その瞬間に薬ビンから薬の情報が携帯端末に送信され、ユーザーの健康情報や服用履歴などと照合。適していない場合には警告を出す誤飲防止システム。
ユーザーの性別や国籍といった属性情報を携帯端末などに登録しておき、RedTacton対応のゲートに触ると、属性に合ったコンテンツを選択して端末から再生するといったこともできる。たとえば、外国人が通過したとき、母国語による道案内などが可能になるだろう。
NTTでは、4月から9月までの予定でRedTactonのフィールド実験を行う予定。RedTactonホームページを通じてパートナー企業を募集している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR