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ホームシアターにおける「サラウンドの基礎知識」劇場がある暮らし――Theater Style(1/4 ページ)

» 2005年02月18日 23時59分 公開
[本田雅一,ITmedia]

ホームシアターにおける音の大切さ

 薄型テレビやプロジェクターによる迫力の大画面。ホームシアターというと、映画館ライクな大画面を求めて映像ばかりに目が行きがちなものだ。しかし、実際に映画、あるいはドキュメンタリーや音楽ライブといった映像ソースを楽しむとき、“音”の要素はとても大きい。

 たとえば映画では、場面ごとに見る者の心理状態を動かすために、音を活用しているという。

 周囲の騒音に包まれている中、瞬間、サッと静寂が訪れ時間が止まったかのような錯覚を呼び起こす。あるいはサブウーファーから発せられる振動で、不安感や恐怖感をあおり立てる。木の葉のざわめきや小川の流れ、小鳥の声などで柔らかに視聴者を包む。などなど、様々な手法で場面ごとの雰囲気を作り出し、映像テクニックとの合わせ技で視聴者の心をつかもうとする。

 実際にサラウンドサウンドを楽しんでいる読者なら分かるだろうが、方向感を出すために5.1チャンネルスピーカーを利用するソフトというのは意外に少ない。もちろん、必要に応じて背後から音がしたり、矢が斜めにすり抜けるといった演出が行われる事もあるにはある。しかし、そうした使われ方をする場面は、あっても映像ソフトの中で数カ所、時間にすればごく僅かでしかない。

 それでも“音にうるさい”ユーザーがサラウンド環境を整えたくなるのは、映像が伝えようとする情報を、音が演出する空気感や雰囲気によって強く補強してくれるからだ。音楽を音楽らしく楽しもう、というのであれば、ハードルは高くなるが、こうした音の立体感や雰囲気の演出に絞るのであれば、最近流行の10万円前後のホームシアター用サラウンドパッケージでも十分に楽しめる。

 ただし、後述するが一度サラウンドの自然な音場感を楽しんでしまうと、音楽もマルチスピーカーで楽しみたいと思うようになるかも。その場合は、ワンランク上のAVアンプを導入したくなるだろうが、ひとまずは5.1チャンネル環境を整える事を考えてみてはいかがだろう。

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5.1チャンネルシステム設置のポイント

 映画など映像ソースで使われる音声フォーマットは、通常5.1チャンネルで構成される。これはDVD-AudioやSACDといったオーディオソフトでも同じだ。フロントの左右2チャンネルがメインスピーカー。その中央にセンタースピーカーが配置され、左右斜め後ろに1個づつ2チャンネル分がサラウンドスピーカーとなる。

 AVアンプには7.1チャンネル構成のものも多いが、これは真後ろに左右1個づつスピーカーを並べて配置する手法だ。ただし7.1チャンネル以上の配置では、AVアンプによって設計時に想定しているスピーカー位置が異なる場合もある。

 というのも、映像ソースには最大でも6.1チャンネル分の音声しか入っていない。7.1、9.1といった構成を取るAVアンプは、これらの音声チャンネルにデジタル音響処理を施し、振り分けるなどしている。とりあえず、そうした難しい事は抜きにして、お始めは5.1チャンネルから楽しむといい。たいていの映像ソースは5.1チャンネルだからだ。

 実は5.1チャンネルにも、配置角度などの作法がいくつかあるのだが、ここでは最も一般的なITU-R配列をオススメしておきたい。ITU-R配列ならば、DVDやハイビジョン放送だけでなく、DVD-AudioやSACDなど万能に通用するからだ。

photo ITU-R配列によるスピーカーの配置
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