ソニーの「LF-X5」は、7V型ワイド液晶を搭載した小型の“ロケーションフリーテレビ”だ。家の中でワイヤレステレビとして使えることはもちろん、インターネットを介して外出先でも自宅のテレビを楽しめる。ここまでは昨年3月に登場した「LF-X1」と同じだが、550グラムの軽量ボディは、今まで以上に“場所の制約”を減らしてくれそうだ。3月10日発売の「LF-X5」を、一足先に試用してみた。
ロケーションフリーテレビは、アナログテレビチューナー内蔵の「ベースステーション」と、800×480ピクセルのワイドVGAパネルを搭載したディスプレイの2ピース構成。ベースステーションにはチューナーのRF入力と2つの外部入力端子(1つはS端子付き)があり、DVDレコーダーやビデオデッキ、デジタルチューナーなどを接続できる。なお、「LF-X1」にあったUSB端子は省かれ、プリンタを接続してネットワークプリンタにすることはできなくなった。
ベースステーションは、いわばTVチューナー内蔵の無線LANアクセスポイントだ。チューナーや外部入力の映像をリアルタイムにデジタル化し、液晶ディスプレイに無線伝送する。無線LANは、IEEE 802.11b/gとIEEE 802.11aのデュアルバンドをサポート。しかも、2.4GHz帯の3チャンネルと、5GHz帯の4チャンネルの計7チャンネルの中から、最適に視聴できるチャンネルをスキャンして、自動的に選択してくれるという。オートスキャン機能自体は決して珍しくないが、2つのバンド(周波数帯)に跨ってスキャンを行うのは「業界初」だ。
デュアルバンドオートスキャンの良いところは、特性の異なる無線LANから、環境に応じて良いほうを選択できること。たとえば2.4GHz帯は、壁などの透過性に優れ、遠くまで届くものの、電子レンジなどと干渉する可能性がある。パソコン用の無線LANで混み合っていることもあるかもしれない。対して5.2GHz帯は、壁などの透過性は2.4GHz帯に劣るものの、比較的クリアな周波数帯だ(ただし、日本では利用が屋内に限られている)。
たとえば、ディスプレイとの距離が離れていたり、フロアを跨ぐようなときは2.4GHz帯を使い、パソコンなどほかのクライアントが多い場所では5GHz帯といったように、自動的に判断して切り換えてくれる。しかも面倒な設定は一切なし。そのときの状況に最も適したチャンネルを選択するため、通信の安定性という点では、従来のワイヤレステレビより一歩進んだ仕組みといえるだろう。
無線伝送時の映像フォーマットや解像度は明らかにされていないが、ソニーによると「映像伝送だけでスゴ録の最高画質モードと同等の15Mbps」という。もちろん、電波状況が悪ければビットレートを落とすことになるが、画面サイズを考えれば十分以上だし、QoSの機能もある。優先的に動画のパケットを流すため、たとえほかのクライアントが重い通信を始めても影響を受けない。
ベースステーションには、3次元Y/C分離や動き適応型IP変換、斜め線補正といった高画質回路を搭載しており、デジタル化の際にしっかり前処理を行う。単純にMPEG圧縮を行うと、ノイズなどにもビットレートを割り当ててしまい、画質とともに伝送効率まで下げてしまうから、前処理でキレイなソースを得ることは重要なのだ。贅沢をいえば、ゴーストリダクション付きのチューナーにしてほしかったところか。
実際に視聴してみた。
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