ソニーマーケティングは1月19日、ワイヤレス液晶テレビ「エアボード」シリーズの新製品「LF-X1」を発表した。これは、先週ラスベガスで開催された「2004 International CES」で披露したもの。インターネットを介して外出先でも自宅のテレビを楽しめる「究極のロケーションフリーテレビ」だ。3月12日に発売する予定で、価格はオープンプライス(14万8000円前後)。
エアボードシリーズは、初代の「LF-1」から数えて4代目。基本的な機能は従来製品と同じで、ベースステーションに内蔵したアナログTVチューナーもしくは外部入力機器の映像をリアルタイムにデジタル化し、液晶ディスプレイにワイヤレス伝送する。ディスプレイは、タッチパネル付きの12.1型TFT液晶(600×800ピクセル)。Webブラウザやメール、メモリースティック内の静止画(BMP、PNG、GIF、JPG)や動画(MPG、MQVのモバイルムービー)の再生といった機能も持つ。Webブラウズ中に小画面でテレビ画面を表示する、あるいはテレビ画面をキャプチャーしてメールに添付するといった連携も可能だ。
LF-X1では、無線LANが排他利用ながら2.4G/5.2GHzのデュアルバンド対応となり、IEEE 802.11a/b/gをサポートした。もちろん、PCから無線LANアクセスポイントとしても利用可能。ベースステーションのUSBポートにプリンタを接続しておけば、液晶ディスプレイやPCで共有できるプリンタサーバ機能もこれまで通り搭載している。
ディスプレイからAV機器を制御する「AVマウス」も強化された。AVマウスは、ベースステーションに接続した赤外線アダプタを介し、外部入力機器にリモコン操作するもの。新たに同社のハイブリッドレコーダー「PSX」や「スゴ録」をサポートし、液晶画面に表示されたリモコン画面をスタイラスなどでタップするだけで、ほとんどの操作を行える。PSXであれば、録画したテレビ番組はもちろん、写真や音楽、DVDビデオなども視聴可能だ。
他社製のワイヤレスTVと異なり、エアボードはディスプレイにリチウムイオンバッテリーを内蔵してる。このため、無線LANの電波が届く範囲であれば場所を選ばずに使える“ロケーションフリー”が特徴だった。LF-X1では、このコンセプトをさらに強化。インターネットを介して外出先から自宅のテレビ/AVコンテンツを視聴できるようになった。ソニーでは、この機能を「ネットAV機能」と呼ぶ。
「今まではワイヤレスの“ロケーションフリー”を提供していたが、それは家の中に限ったこと。新製品はインターネット経由で自宅のテレビやDVD、HDDレコーダーに録画した番組などを視聴できる“究極のロケーションフリー”だ」(ソニーブロードバンドネットワークカンパニー、ブロードバンドシステムカンパニーLFX事業室の前田悟室長)。
ブロードバンド回線が普及したとはいえ、一旦インターネットに入ればどこにボトルネックがあるか分からない。このため、LF-X1では圧縮率の高いMPEG-4を採用し、「見る人にもよるが、200K〜400Kbps程度の帯域幅があれば十分な画質を得られる」という。CESの展示会場では、東京のテレビ番組をリアルタイムに表示するデモンストレーションで注目を集めたが、発表会でも大坂・心斎橋にあるソニービルの映像をADSLを介して映し出して見せた。デモ映像のビットレートは約300Kbps。なお、推奨環境は400Kbps以上となっている。
ネットAV接続時には、ベースステーションとディスプレイの間で機器認証を行う。また伝送時にはコンテンツを暗号化し、さらにストリーミングは独自方式を採用したという。これらはすべて、著作権管理とセキュリティへの配慮だ。「第三者が伝送中のコンテンツを視聴することはできない」(ソニー)。
一方、ネックになりそうなのが“ネットワークの設定”だ。ネットAVにはグローバルIPアドレスが必須のため、ADSLやCATVなど動的割り当ての回線環境では、DDNSの契約や更新設定が欠かせない。また、ベースステーションはDHCPサーバなどの機能は持つものの、セキュリティ機能はない。ルータとの併用を前提とした場合、ルータを越えるための各種設定を行う必要がある。つまり、ネットAVはルータの持つ機能に依存するうえ、ユーザーにもある程度のスキルを求めることになるだろう。ソニーでは、「独自のDDNSサービスなどを提供する予定はないが、ルータの推奨機種情報や設定方法などを順次公開していく」と説明している。
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