日本SGIは、ロボットデザイナーの松井龍哉氏が率いるフラワー・ロボティクスと共同開発したマネキン型ロボット「Palette」(パレット)の事業展開を発表した。
Paletteは人感センサーを備え、人が近づくとさまざまなポーズを披露するマネキン型ロボット。ファッション業界を主なターゲットとしており、人間の足の付け根から上だけが再現された全身型と、胸から上を再現したアッパートルソ型の2つが開発されている。アッパートルソ型は開発中とのことで、今回は全身型のみがお披露目された。
全身型は15の自由度を有しており、モーションキャプチャーしたデータをSDカード経由でセットすると、ファッションショーでプロのモデルが見せる動きや、バレエダンサーの動きなど、服の美しさを際立たせるモーションを再現できる。足元の台には人感センサーを3つ備えており、人が近づいてきた方向に対してモーションを見せるほか、あらかじめ用意した動きを繰り返すことも可能だ。
「服を見せることが大切なロボットなので、美しいものを作ろういうのではなく、シンプルかつ安全なロボットであることを心がけた」。松井氏がそう述べるよう、Paletteの持つインタフェースは非常にシンプル。本体にはスイッチひとつなく、台座の背面にもカードスロットのほかには、「電源」「モーション切り替え」「着替え」という3つのボタンしか用意されていない。
今回お披露目されたPaletteには実装されていなかったが、頭部にネットワーク接続されたカメラをセットし、セキュリティ機能を持ったロボットとする計画もある。Paletteという名前は、画家がパレットへ絵の具を広げていくよう、SGIのさまざまなサービスやソリューションをロボットへ展開していくというイメージから名付けられたそうだ。
同社と松井龍哉氏は「Posy」の開発も共同で行っている。Posyは化粧品会社のPRやANAのポスターに登場するなど、“ロボットらしからぬ”活躍を見せているが、なぜその次がマネキン型なのか。
「人形に服を着せて飾るというマネキンの発想は世界共通のもの。ここにロボットを投入すれば、実用的でありながらも、自然に人間の生活空間へロボットをとけ込ませることができる。それに、ショーウィンドウの中に飾っておけば人がむやみに近づくこともなく、安全性も確保できる」(大塚氏)
発売時期と価格については未定だが、「今年中にできるだけ早く発売したい。日本だけではなく、世界市場でも発売する」(日本SGI 代表取締役社長CEO 和泉法夫氏)、「可能な限り、既存マネキンの値段に近づけたい」(日本SGI ブロードバンド・ユビキタスソリューション推進本部 新規事業推進オペレーション統括 大塚寛氏)と、日本SGIでは早期・低価格での市場投入を目指す。
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