韓国の若者が大好きなオンラインゲームを教育に生かせないか――2月28日から工学院大学(東京・新宿)開かれている「アジア オンラインゲーム カンファレンス2005」で、韓国コンテンツ経営研究所の呉ナラ研究員は、オンラインゲームを使った教育実験を紹介した。
経済を学べるゲームを高校生にプレイしてもらい、経済学習への意識の変化を質問紙で尋ねるという実験の結果、「ただプレイするだけでは学習効果はないが、実際の教育とリンクさせ、指導を受けながらプレイすれば学習に役立つ可能性がある」と結論づけている。
韓国の高校生75人に、オンラインゲーム「君主」をプレイしてもらい、経済学習への意識の変化を調査した。君主は、狩猟で得た獲物に適正な値段を付け、商店に預けて売ったり、安い地方で商品を買い、高く売れる地方に持って行って売るなどしてお金を稼ぎ、財力を高めるゲーム。株式売買や不動産売買なども可能だ。
参加したのは、ソウル近郊の高校に通う16〜18歳の高校生75人(男子55人、女子20人)で、2週間にわたって行った。ゲームをプレイするだけのグループと、ゲームと一緒に経済教育を受けてもらうグループの2つに分け、プレイ前後に経済教育に対する意識を質問紙調査した。
「私は取引方法を学ぶことができる」「私は市場経済の原理に対して自ら学習できる」など、経済学習に対する自信をイエス・ノーで尋ねた調査は、両グループではっきり違いが出た。ゲームをプレイしただけのグループは、実験後に自信を失った生徒が増えたが、ゲームと経済教育両方を試したグループは、実験後に自信を高めた生徒が増えた。「ゲームをプレイするだけではマイナス効果。実際の教育とリンクさせる必要があるようだ」。
「経済の授業が面白い」「市場で価格が決まることに興味を感じる」など経済学習への関心を尋ねた調査結果は、大きな変化はなかった。
ただ、ゲームをプレイせずに経済教育だけを受けたグループが存在しないため、意識の変化がゲームのせいなのか教育のせいなのかは不明だ。「今回の実験は、ゲームのプレイ前後で意識が変わるかを見るためのパイロットテスト。今後の本試験で、より正確で長期にわたる調査をする」。
同調査をベースに、東京大学などが国内でも同様の調査をする計画だ(関連記事参照)。
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