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» 2005年03月03日 10時49分 公開

人類が手に入れた第4の“明かり”――LEDの現状と将来ライティング・フェア 2005(2/2 ページ)

[芹澤隆徳,ITmedia]
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 しかし、照明としてのLEDは、今のところダウンライトや常夜灯といった間接照明や補助灯の役割ばかり。まだ部屋の中を明るく照らす“主照明”として使われる段階には至っていない。理由は、効率(ルーメン/ワット)と製造コストの両面で、まだまだ蛍光灯に及ばないためだ。とくに「対象を離れた場所から照らす明るさが課題」(松下電工)という。

 LEDは、もともと大きな電流を流すと明るさを増す性質があるのだが、大きな電流は発熱量を増し、同時に発光ユニットの封入素材などを劣化させて発光モジュールそのものの寿命を縮めてしまう。つまり、単純に大電流を流すだけでは、「発熱が少なく、長寿命」というLED本来のメリットがスポイルされる。

 LEDモジュールの販売を手がける三菱電機オスラムでは、「LEDは、モノを照らし出す一般照明用光源としてはまだ発展途上。蛍光ランプなどと比較して、さらなる明るさが求められる」と指摘する。また、小泉産業では、コスト面を課題として挙げた。「現状でLEDを主照明に使おうとすれば、製品価格が跳ね上がってしまう。ただ、現在のペースで開発が進み、効率がアップしていけば、2007年から2010年頃には蛍光灯に追いつくと考えている」。

 このため最近では、蛍光灯や白熱電球とLEDを組み合わせたハイブリッドな照明器具も登場している。これは、足りない“明るさ”は従来の光源で補いつつ、比較的光量の必要ない場面でLEDを活用するもの。たとえば、松下電工&松下電器ブースでは、蛍光灯の外周に沿ってLEDを複数配置(枠の部分)したハイブリッド型の照明器具を展示した。普段は主照明として蛍光灯を使い、就寝時にはLEDへ切り換えて“常夜灯”にする仕組みだ。

photo 「リビングシアターにもオススメ」という松下のハイブリッド型照明器具。LED自体は枠の中に隠れているが、LEDとLEDの間を透明な素材でつないでいるため、リング状に光る。映画のジャンルに合わせて色を変えれば気分も盛り上がる? 価格は7万1400円と、ちょっと高め
photo 同じく松下の表札灯。人が起きている時間帯は明るい白熱灯を使い、深夜になるとLEDに切り換える。青とオレンジの2色を内蔵。価格は2万290円

より明るく、より長寿命に

 一方、発熱を抑えつつ、LED照明を明るくする技術も着実に開発が進んでいる。今回の「ライティング・フェア2005」でも、その開催にあわせてLEDメーカー各社が明るさを大幅に向上させたLEDモジュールをリリース。展示会場で積極的にアピールしていた。

 たとえば、前述の三菱電機オスラムは「明るさ(光束)は従来比で約13倍」という照明用LEDモジュール「DRAGONモジュール」を発表した。「従来より大きなサイズのLEDを採用すると同時に、350ミリアンペアの大電流を流すことにより、発光量を増大させた。また、LEDチップをパッケージに封入する材料として、従来のエポキシ樹脂にかえてシリコン樹脂を採用。光や熱による劣化に強くなり、約5万時間と蛍光ランプなどに比較しても大幅な長寿命化を実現している」(同社)。

photo DRAGONモジュールは、細長いテープタイプとレンズ一体型タイプの2種類。テープ型はレンズ一体型はスポット照明用光源として利用可能だ。3月から発売するという

 一方、松下電工は、40ワット白熱灯と同等の明るさを持つという「高出力LEDユニット」を発表した。こちらは放熱設計と光学設計を見直し、高出力時の熱劣化問題を解決したというもの。4万時間の寿命と「直下照度なら100ワットのレフ電球と同等、平均照度でも40ワットのレフ電球に匹敵する」明るさを手に入れた。逆に、消費電力は40ワットのレフ電球と比較して約37%も少ないという。

photo 松下電工の「点・線・面シリーズ」。

 同社はこのLEDモジュールを採用した「LEDベース器具 点(POINT)・線(LINE)・面(PUZZLE)」シリーズを発表。ビルの外壁や床、天井面など建築物に部材感覚で光の演出を加えることができる“光る建築部材”として6月から販売する予定だ。従来の製品は「点・線シリーズ」という名称だったが、高出力タイプと“面”の追加など、大幅にラインアップを拡充している。

photo “面”をパンチングメタルと組み合わせ、見る向きによって表情が変わる壁を作り出した。コンセプトが“光る建築部材”というだけあり、展示内容も大胆だ。ちなみに「面」シリーズのLEDパネルを72枚使用している
photo 映画館の床などに埋め込むもの。こちらは片側で24枚のパネルを使用した

 東芝ライテックは、フェア開催直前に「小田急ロマンスカー」の新型車両に同社のLED照明が採用されることを発表した(関連記事)。こちらは座席上部(荷物棚下)、展望室天井、乗降口上部、運転席天井などに直線形状モジュール(電球色:2800K)を設置するというもので、1編成(10両)あたり約1900本のモジュールと100台の専用電源を使用する。車両内では、ドーム型天井部分の間接照明として蛍光ランプを併用するものの、LEDと組み合わせてデザイン性を高めた。

photo 蛍光灯とLED照明を組み合わせ、ロマンスカーの車内に落ち着いた雰囲気を作り出した

 LEDモジュール1本あたりのサイズは、210(長さ)×30(幅)×12(高さ)ミリで、18個の電球色LEDを使用する。LEDの明るさは中心光度で12カンデラ。寿命は4万時間という。


 今はまだ脇役の扱いだが、徐々に“大舞台”へと進出しはじめたLED照明。徐々に力をつけながら、主役の座を虎視眈々と狙っているようだ。実際、その進歩はめざましく、新しい発表には必ずといっていいほど「業界初」「業界最高」といった謳い文句が付いてくる。このままのペースで技術開発が進めば、一般家庭でも当たり前のようにLED照明器具を使うようになる時代も、そう遠くないかもしれない。

photo 三菱電機オスラムブースのイメージ展示。家庭内の照明器具としてLEDが当たり前に使われるようになるというのがコンセプト
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