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スピーカー選びとセッティングの基礎劇場がある暮らし――Theater Style(3/4 ページ)

» 2005年04月08日 23時59分 公開
[本田雅一,ITmedia]

・サラウンドスピーカーは存在感の希薄さと設置性を重視

 側方やや後ろに配置する「サラウンドスピーカー」はどうすればいいだろうか。

 もちろん、予算と部屋の広さが潤沢にあるならば、フロントスピーカーと同じものを使うのがいい。しかし、現実には予算がたとえあったとしても、設置ができずに挫折する事が多いハズだ。

 またフロントと同じではないにしろ、同一シリーズで揃えるのが良いとも言われている。これは前と後ろの音色があまりに違うと違和感を感じるからというのが理由だが、再生音の位相を合わせる意味でも、その方がセッティングが容易ではある。

 ただフロントスピーカーに気合いと予算を入れすぎると、必然的に同じシリーズのサラウンドスピーカーも大きく、高価なものになりがちだ。サラウンドスピーカーの質も、もちろん大切ではあるが、現実的にはもう少し幅を拡げてスピーカーを選ぶようにしたい。

 ポイントはスピーカーの存在感。あまりに方向感が強いスピーカーは、どんなにフロント用として質が良くても、サラウンド用には向いていないと個人的には思う。高域にクセがあったり、シャリシャリと金属音が耳に付くタイプのスピーカーも避けた方がいい。素直で柔らかい、優しい音がするスピーカーを選ぶようにしよう。また、あまりサイズを欲張らず、レスポンスの良いものを選ぶというのもポイントだ。筆者自身、同じような考え方でLINNのUNIKというスピーカーをサラウンド用に使っている。

photo LINNのUNIK

 サイズを欲張らない方がいいと思うのは、設置の自由度が高くなるからだ。サラウンドスピーカーは、あまりユーザーの近くに設置しすぎると方向感が強まって具合が良くない。物理的にスピーカーをユーザーから離す方が良い結果となる。壁の高い位置に取り付ける事を考えるといいだろう。

 たとえばBOSEには230SMという壁掛け型のスピーカーがある。天井吊りが難しい賃貸住宅などで使いやすいはずだ。同じくBOSEの33WERは、天井と壁の交差する角から斜め下方向にカンタンに取り付けられる。

photo 壁掛けできるBOSEの230SM

 実は個人的にはBOSEの音はあまり好きではないのだが、BOSEの中でも55WER、33WERの2製品はクセがなく素直で、サイズの割にレンジも広いバランスの良いスピーカーで、他メーカーのスピーカーと組み合わせた場合の違和感もさほど大きくないオススメスピーカーのうちのひとつ。

 デザイン重視で専用スタンドと組み合わせてスマートに、と思うのであれば、アンソニー・ギャロのMICROシリーズもいい。専用スタンドと組み合わせると、インテリア的にもなかなか面白いオブジェになる。出てくる音は見た目ほど極端なところはなく、音の拡がりもいい。このスピーカーのいいところは、設置がいい加減でもまともな音が出ること。様々な置き方のバリエーションができるので、設置条件が厳しい場合に勧めたい。

photo アンソニー・ギャロのMICROシリーズ

 サブウーファーは質を求めるとかなり高価な買い物になる。“お始め”ならば、サブウーファーなしという選択肢も決して悪くないが、映画視聴がメインならばやはりあった方がいい。逆に音楽ソースメインならば、フロントスピーカーの低域再生能力さえ十分ならば不要だ。

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