ITmedia NEWS >

HDパッケージソフトが自分のハイビジョンTVで楽しめない?――AACSの行方(2/3 ページ)

» 2005年04月20日 15時27分 公開
[本田雅一,ITmedia]

ハイビジョン対応なら再生できるハズでは?

 おそらく読者の大半は、AACSの大枠が決まったら(規格分裂という問題はあるにせよ)、あとは発売に向けて業界が動くと考えているかもしれない。確かに各社の開発は今、粛々と前へと進んでいるようだ。しかし、HD映像パッケージが発売され、対応プレーヤー/レコーダーを購入してきたとしても、もしかするとあなたのテレビではHD映像パッケージをSD解像度でしか楽しめないかもしれない。

 「えっ? ハイビジョン対応テレビなら映るハズでしょ? 」

 そう。BDにしろHD DVDにしろ、HD映像パッケージソフトは最大1920×1080ピクセルのプログレッシブで収録されるが、プレーヤーにはフォーマット変換の機能が実装されるはずだから、ハイビジョン対応ならば720P対応テレビでも1080i対応テレビでも、その機器なりの能力で映像を映すことが可能なハズだ。

 しかし現時点では、コンテンツを持っている企業、つまりAACSの場合はディズニーとワーナーということになるが、彼らは「相互機器認証と暗号化の機能を持つデジタルインタフェースにしかコンテンツを出力してはならない」と主張している。

 この主張は映像だけではない。

 音声に関してもDolby Digital PlusやMLPなどの高品質フォーマットの場合、セキュリティ機能に対応したデジタルインタフェース(具体的にはiLINKもしくはHDMIの音声チャネル)での出力しか許さない方向で主張している。おそらく音声に関しては(アナログから高品質にキャプチャーできるため)、この主張がほぼ間違いなく通るだろう。

 もっとも、音声に関してはDolby Digitalにしろ、DTSにしろ、現在のDVDで使われているよりも高いビットレートで互換のデジタル音声信号が出るため、さほど混乱はないと考えられる。問題はやはり「映像」の方だ。

 デジタルの映像インタフェースでテレビやプロジェクターに使われているのは「DVI」もしくは「HDMI」である。HDMIは機器認証と暗号化を行うHDCPが必須で、DVIもテレビやプロジェクタに搭載されているものの多くはHDCPに対応しているため、このいずれかが搭載されていれば、HD映像パッケージを問題なく楽しめることになる。

 しかしご存じの通り、これらのデジタルインタフェースが日本のテレビに搭載され始めたのは、比較的最近のことだ。北米では日本よりも1〜1年半ほど早くHDCP対応DVIが搭載された機種が販売されていたが、いずれせよデジタルインタフェースが搭載されていなかった初期のフラットパネルテレビは、たとえハイビジョンを映す能力があっても、HDパッケージ映像を映すことはできない。アナログ出力端子に対しては、最大でも480Pの解像度でしか映らないことになる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.