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ハイビジョンの立体映像を自宅で楽しめる時代の到来?映画テレビ技術2005

» 2005年05月25日 23時38分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 5月25日、北の丸公園・科学技術館にて「映画テレビ技術2005」が開幕した。日本映画テレビ技術協会の主催によるもので、主に映画・テレビの制作や編集に携わる人へ向けた展示会だ。しかし、最新の映像機器が展示されているほか、普段見ている映像の“舞台裏”を垣間見ることもできる。

ハイビジョンの立体映像を自宅(?)でも

 NHKテクニカルサービスが展示していたのが、HDクオリティの映像を表示できる立体映像システム。同社とクリプトンが共同開発したもので、「世界初の3D-HDTV実用機」(同社)をうたっている。

photo NHKテクニカルサービスが展示していた立体視システム。

 このシステムは2つのプロジェクターを搭載した70インチのプロジェクションテレビと立体ハイビジョン映像を処理するデコーダー、映像コンテンツを収納するHDDユニットなどが組み合わされている。立体映像を見るためには、専用カメラで撮影された映像が必要だが、視聴者は3D偏光メガネをかけるだけで立体感を得ることができる。

 70インチでプロジェクション方式という点だけ言えば、QUALIA 006と同じだが、立体視の機能を搭載しながらサイズは179(高さ)×160(横)×93(奥行き)センチとなっており、「エレベーターで運べるサイズ」(同社)になっている。移動が容易に行えるよう、スクリーン部分とプロジェクター部分に分割できるほか、底面にはキャスターも備えている。

photo 側面にはアンプやHDDユニットなど

 内蔵されている2つのプロジェクターには、0.7インチ/441万画素の表示パネルが3枚使用されている。このパネルは1400×1050という高い解像度を持っており、ハイビジョン映像も表示できる。立体映像投影時の輝度は300カンデラ/平方メートルだが、標準投影時には600カンデラ/平方メートルまで上昇する。

360度パノラマのCG合成を容易に行う「CAMSAT」

 フジテレビが展示していたのは、モーションコントロールカメラシステム「CAMSAT」。弧を描くアームに取り付けられたカメラが上下左右に回転しながら動き、撮影した実写映像とCGを、360度のパノラマ映像として合成できるシステムだ。

photo CAMSAT

 このシステムは2004年4月に行われた全米放送機器展(NAB)に出展され、同局の「FNS歌謡祭」でも使用されたほか、工藤静香の「Lotus〜生まれし花〜」のプロモーションビデオにも利用されている。

 クロマキー背景の被写体映像と任意の背景を任意に合成することが可能なほか、撮影データ自体が高精度なため、これまでに比べて低いコストで複雑な合成映像を制作することが可能になる。同局では自局における撮影用途にとどまらず、今後は販売およびレンタルによる事業化を推進していくという。

メモリー記録方式のHDカムコーダー「AG-HVX200」が国内市場へ

 松下電器産業が展示していたのは同社が4月に発表した、業務用メモリーカード「P2カード」をストレージとして使用するハンディHDカムコーダ「AG-HVX200」。2005年冬あるいは2006年の初頭に国内投入される予定だ。

photo AG-HVX200

 本製品はプログレッシブ方式3CCDを搭載し、HD/SD双方での記録が可能なマルチフォーマットカメラ。HD録画についてはDVCPRO HD(映像ビットレート100Mbps)による1080i/720pでの録画が行えるほか、DVCPRO 50、DVCPRO、DVによる480iの録画もサポートする。

 本体後部には2基のP2スロットを搭載しており、ランダムアクセス、ホットスワップ、サムネイル表示などの機能も備えている。ちなみに、8Gバイト P2カードの場合、カード1枚あたりDVCPRO/DVで約32分、DVCPRO 50で約16分、1080/60iもしくは720/60pで約8分間の映像を保存できる。

photo 本体後部には2基のP2スロット

 こうした各種展示のほか、会場では映画撮影の現場で実際に使用されている大判カメラやハイビジョンカメラなどに触れることができる体験コーナーが設置されている。体験コーナーではDVカムを実際に使用した実技講習や、16ミリフィルムの装填体験などもできる。「映画テレビ技術2005」の開催期間は5月27日(金曜日)まで。

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