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今年の冬、“つながる家電”が市場を席巻する?(1/2 ページ)

» 2005年05月30日 17時00分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 HDDレコーダーを中心にネットワーク端子を備えたAV家電が多く登場している。しかし、せっかくの端子もEPGのみで使用されるというパターンが多く、機器同士を接続してコンテンツをやりとりできる製品は少ない。

 コンテンツのやりとりを行う際のルールを定めたものとしてはDLNA(Digital Living Network Alliance)のガイドラインが存在し、これまでにCEATECやCESなど各種展示会などで盛んにそのPRが行われている。実際に「DLNA対応」として登場しているAV家電もあるが、あまりにその数は少ない。

photo 2004年10月に行われたCEATEC JAPAN 2004でのDLNAブース。VAIO type XやDIGA「DMR-E500H」などをコンテンツサーバとし、さまざまなクライアントからコンテンツへアクセスするデモが行われていた

 “メーカー間の壁を越えてコンテンツを扱える製品”は机上の空論なのか。DLNAガイドラインに対応したサーバー/クライアントソフト「DiXiM」を開発するデジオンの田浦寿敏社長に話を聞いた。

最大の要因は相互接続検証の困難さ

 DLNAのガイドラインは2004年6月にv1.0が発表されており、現在市場に存在する「DLNA対応」製品はほぼこのv1.0に対応している。しかし、このv1.0はネットワークメディア(イーサネット、802.11a/b/g)やプロトコル(IP、IPv4、HTTP)、根幹となるネットワーク相互接続規格「UPnP」の仕様など基本的な枠組みを定めたもので、必須とされている対応メディアフォーマットの種類もJPEG/PNG/リニアPCM/MPEG-2のみだ。

 ※「DLNA対応製品」として販売されている製品のほとんどは、JPEG/PNG/リニアPCM/MPEG-2以外のメディアフォーマットもサポートしているが、v1.0で必ずサポートするようにと定められているのはこの4つだけだ。

 なによりも、2005年4月に行われたインテルの開発者向けセミナーイベント「Intel Developer Forum Japan 2005」の家庭内ネットワークに関するブースで一部関係者から、「ガイドライン1.xは確実に接続できることを目指すもの」という声が聞かれたように、相互接続性の確保が完全にとれていないことが最大の問題点だ。

 現在は細部の調整と「プラグフェスト」と呼ばれる、メーカーがプロトタイプを持ち寄って相互運用性を試すイベントが定期的に行われている最中。このプラグフェストは昨年12月にドイツ、今年3月に東京で行われている。

 プラグフェストは2005年6月に韓国でも行われる予定となっており、ここ半年で3回目の開催となる。デジオンも独自に相互接続性の検証ラボを開設、メーカーへ利用を促しているが、相互接続検証が現在進行形ならば、対応する製品がなかなか登場しないのもうなずけるというものだ。

「対応する製品は今年冬から多く登場する」と考えられるワケ

 デジオンの田浦社長は、今年の冬に“つながる家電”が登場すると話す。

 「日本国内でも、DLNAによる相互接続機能を持ったAV家電が今年冬には多く登場すると考えています。対応製品の数が増えれば、家電ネットワークというものはそう珍しくない存在になるはずです」

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