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テレビの魅力をシンプルに追求―――リビングへ自然に溶け込む「新・LIVINGSTATION 」レビュー(2/2 ページ)

» 2005年06月13日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 以前、ショールームで初代LIVINGSTATIONを数時間ほど鑑賞した体験はあるのだが、今回じっくりと自宅で試用してみて、漠然と感じていた“好印象”は、“確信”に変わった。映像の面でも使い勝手でも、“投影式”の弱点が介在することはなく、ブラウン管や液晶テレビに近い感覚で楽しめる。

photo 専用ラックには本来ガラス板が入るのだが、筆者はここにセンタースピーカーを設置したかったため、写真ではガラス板を外してある

 実際、あらかじめそうだと教えなければ、この製品を見て、プロジェクション方式だとすぐに気づく人は(AVマニアを除いて)少ないだろう。この明るく、しかも、自然な色合いの映像は、もはやリアプロジェクション方式云々や、ブラウン管との差などを意識する必要なく、単純に“1台のテレビ”として生活に溶け込んでくれる。

 驚いたのは、昼間の日が差す部屋の中でも、しっかりと映像を描いてくれること。ご存知のようにテレビは、日光など光の映り込みに弱い。これはブラウン管/プラズマ/液晶/リアプロTVを問わずすべての方式でいえることだ。だがLIVINGSTATIONは、映り込みを大幅に抑えたピュアブラックスクリーンを採用し、さらに外光を吸収するブラックストライプで明るい部屋でのコントラスト感を高めている。今回設置した場所には、真横に窓があったのだが、日差しの影響はほとんどなかった。

photo 真横に窓があっても日差しの影響はほとんどなかった

 あえて難点を挙げるとすれば視野角くらいか。しかし、その急所もピンポイントで、上から見下ろすような角度で眺めた場合のみ、画面がやや暗く感じられる。もちろん、実際にそんな位置関係でテレビを観るはずはなく、適切な視聴距離を保っていれば、水平方向を含み、視野角の制限を受けることはない。逆に下からの視野角はかなり頑張っており、子供が見上げる分にも、1メートル以上離れていさえすれば、床に座り込んでいても暗いとは感じないはずだ(近距離で寝転んで観るのは難しいが)。

 これだけ大画面だと消費電力が気になるところだが、画面サイズに比例して消費電力がどんどん増えていくのはプラズマやブラウン管のような自発光の直視型デバイスでの話。ランプでスクリーンに投影するリアプロTVでは、画面サイズが増えても消費電力にはほとんど影響が無い。

 そのためLIVINGSTATIONは47V型でも57V型でも、消費電力は同じ198ワットだ。これは28〜32型ワイドのブラウン管テレビ並みの消費電力でしかない。つまり、今あるテレビの置き換えで圧倒的な大画面を手に入れた後も、電気代の心配はいらないのだ。ちなみにプラズマテレビの場合、消費電力は50V型だと500ワット前後に及ぶ。

 わが家では、普段、壁に100インチのスクリーンを掛け、ソファの後方にあるフロントプロジェクターから映像を投影している。こうしたフロントプロジェクターで最も大きな問題となるのが、排熱ファンのノイズ。買い換えるごと、つまり世代を重ねるごとに改善され、特に最近の機種では比較的静かになっているものの、それでも結構な騒音が出るものだ。“投影”という仕組み上、高輝度のランプが使用され、その熱を冷却するために、どうしてもファンが必要になる。

photo LIVINGSTATIONもランプを使うが低出力タイプを採用しており、全体の消費電力もわずか198ワットと省電力設計になっている

 フロント/リアという違いはあれ、LIVINGSTATIONも投影式であり、ランプを冷却するファンは不可欠。そのためファンノイズが心配という人もいるだろう。たしかに、背面右側には排熱ファンが装備されている。では、そのノイズはどの程度なのか。

 実際のところ、まったくの無音ではない。しかし、ほとんど聞こえてこないレベルに抑えられている。テレビの音にかき消されるから、といったレベルではなく、「消音」にしても耳をすまさないと判別できない程度である。エアコンなどの動作音と比べても、よほど静かである。ただ、起動時だけ一瞬、ファンの回転数が最大限まで上がるので、明確にノイズが聴こえるが、それもすぐに収まってくれる。

 また、熱も気になるところだが、触って熱いような箇所はなく、唯一、排熱ファンの周囲が、かすかに温かい程度。子供がいる家庭でも心配はない。

 以上のように「ELS-57S1」では、「明るい環境下でも見やすい画面」「最小限の占有面積」「軽量ボディ」「低消費電力」「低騒音・低発熱」、そして、なにより「低価格」という、従来からのLIVINGSTATIONの優位性を、さらに高めることに成功している。どの点をとっても、もはや、リビングへの導入を躊躇する理由など、存在しないのだ。

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