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テレビの魅力をシンプルに追求―――リビングへ自然に溶け込む「新・LIVINGSTATION 」レビュー(1/2 ページ)

» 2005年06月13日 00時00分 公開
[ITmedia]

 いわば、直視型と投影型の中間ともいえるリアプロジェクションテレビ(リアプロTV)。日本ではあまり注目されなくなっていた同分野だが、高性能と低価格を両立させたエプソンのLIVINGSTATION(リビングステーション)「ELS-47P1」「ELS-57P1」が昨年5月に突如登場するとともに、“大画面テレビの新時代”が切り拓かれた。

 すでに知っているというユーザーも多いだろうが、エプソンは高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)の供給元でもある。特に投影式の分野では高いシェアを確保し、大手家電/AVメーカーのフロントプロジェクター製品も、同社製パネルを採用しているケースが多い。その高品位な液晶パネル(3LCD方式:HTPS-液晶3板式)をコアに、投写ランプ、投写レンズを利用して、内部からスクリーンへと投影されるLIVINGSTATIONの映像は、旧来のリアプロTVの概念を大きく変える品質であった。

 さらに今年2月にはマイナーチェンジモデルとして、ピュアブラックスクリーンを採用した「ELS-47P2/ELS-47P2G」「ELS-57P2/ELS-57P2G」も登場。映り込みを大幅に抑えるとともに、高いコントラスト感と、さらなる自然な色合いを手にし、当面の“リアプロTV完成形”にまで到達したかに思われた。

 しかし、このLIVINGSTATIONに、さらなる新機種が登場した。今回ラインアップに追加される“S”シリーズは、よりシンプルに、テレビとしての魅力を追求している。

photo 新しいLIVINGSTATION“S”シリーズ

 初代の“P”シリーズはフォトプリンタやメモリカードスロットを装備し、デジタルカメラなどで撮影した画像を閲覧したり印刷したりと、エプソンならでは味付けがなされていた。今回の“S”シリーズは、フォトビューワ+プリント機能のような絶対的な個性は持たされていないものの、その分、コストパフォーマンスは比類なきレベルにまで高められている。

 47V型の「ELS-47S1」ではなんと30万円を切る、29万8000円という低価格を実現。さらに、57V型の「ELS-57S1」でも39万8000円にとどまっている。今回はこのうち、57V型モデルを自宅へ設置し、1週間ほど試用してみた。


 57V型ともなると、画面のサイズは約126×71センチにも及ぶ。しかし「ELS-57S1」ではベゼル(画面の枠)が極めて狭いため、本体の幅は134センチしかない。また、“P”シリーズ同様、奥行きは約41センチで、リアプロTV特有の画面下スペースも必要最小限に抑えられているため、高さも100センチ程度にとどまっている。

photo

 テレビ機能に特化してシンプル化した恩恵は、サイズよりもむしろ重量に反映されている。従来モデル(ELS-57P1/2)の56キロという重さも、57V型という画面サイズを鑑みればかなりの軽量級といえたが、「ELS-57S1」ではさらに軽くなって49キロを実現。つまり、従来モデルの47V型(ELS-47P1/2)とほぼ同じ重量になったのだ。しかも、今回のモデルでは、単に機能を削ぎ落としたわけではなく、待望の地上/BS/CS110度デジタル放送チューナーを内蔵した。デジタルチューナー分は重量が増えているはずなのに、全体では軽量化を実現しているのである。

 大画面テレビの購入で頭を悩ませるのが、配送や設置の問題だ。いくら軽量なLIVINGSTATIONでも、幅1メートル前後という迫力の画面サイズが搬入の時にはネックとなり、作業人員も必ず2人は必要になる。実はこの製品を借りてレビューすると決まったとき、搬入・設置の面で少々気が重かった。

 しかし、実際にはその心配は杞憂だとすぐにわかった。LIVINGSTATIONの価格には、搬入から設置までの料金が含まれているのだ。これは充実したサービスを誇るLIVINGSTATIONならではの魅力の1つでもある。専門スタッフが自宅まで直接納品し、ユーザーの指示する場所に設置。テレビ放送が視聴できるまでセッティングして、不要なダンボール空箱まで回収してくれる。

 心配していたサイズに関しても、カタログの数値で見ると、かなり大きな印象だが、実質的には、幅は標準的な2人掛けソファと同じか、やや短い程度なので、リビングに無理なく設置できる。

 入力端子は、ビデオ1〜3がコンポジット/S映像、ビデオ4〜5がD映像で、各々にステレオ音声入力が付属。このうち、ビデオ3のみが前面中央のパネルを開けた部分に配置されている。前面はもちろん、背面に関しても、本体が大きい分だけ、無理なく接続作業が行える。ほかに、デジタル放送をダイレクト録画するためのi.Link(TS)端子も2基装備ずみだ。

photo 背面にはD端子やi.Linkなど豊富な接続端子を装備

 DVI/PC入力がなくなったのは、やや残念だが、実際の使用を考えると、PCと接続するケースは少ないのかもしれない。どうしても必要というユーザーは、“P”シリーズも継続して販売されているので、そちらを選ぶといいだろう。

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