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Microsoft、BitTorrentの代替技術を開発中

» 2005年06月17日 08時08分 公開
[IDG Japan]
IDG

 英ケンブリッジにあるMicrosoft研究所が、ファイル交換技術の開発を進めている。これにより、インターネットを介して映画、テレビ番組、ソフトアプリケーションなどの大容量ファイルをエンドユーザーに配信しやすくなると研究者は説明している。

 この技術はコードネームで「Avalanche」と呼ばれ、大型のファイルを多数の小型ファイルに分割して配信しやすくするという点では、BitTorrentのような既存のP2Pファイル交換システムと似ている。エンドユーザーはほかのユーザーのHDDからファイルのパーツをリクエストし、それを組み立てて元のファイルを形成する。

 Microsoftによれば、既存のシステムの問題として、ファイルの最後の「希少」部分を受け取るために、ユーザーが長い間待たされることがある。需要が高いファイルを持っているクライアントがごく少数しかいないときに、クライアントが予期せずオフラインになってボトルネックが生じると、事態はさらに悪化する。

 Avalancheではこうした問題の解消に成功していると、ケンブリッジのMicrosoft研究所でシステム/ネットワーキング部門責任者を務めるピーター・キー氏は6月15日のオープンデーで語った。

 この問題の解消のため、ファイルを配信する前に、特別なアルゴリズムを使ってサーバでファイルの各パーツを暗号化。暗号化された各パーツには、元のファイルのほかの全パーツに関する情報が含まれているため、ユーザーは全体を組み立てるために最後のパーツまですべてを集める必要がないとキー氏。

 コンテンツ作者にとって重要な点として、Microsoftによれば、このシステムではパブリッシャーが署名したファイルのみを転送するため、ユーザーによる著作物の再配布を防止できるという。

 ケンブリッジで同ソフトのデモを実施したリサーチエンジニアの話では、MicrosoftはAvalancheの試作品を開発し、βテスター数千人へのソフトアプリケーション配信にこれを使ってテストを行っている。4Gバイトのアプリケーションがわずか1日で配信でき、プログラムを直接送った場合の約2週間から大幅に短縮された。

 同ソフトはテレビ放送局と映画スタジオにとっても関心が高そうだ。Microsoftはこの両者と交渉中で、早ければ来年にもAvalancheが英国のユーザー向けに導入される可能性があるという。

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