産業用バーチャルリアリティ展の会場には、とにかく大きなスクリーンとプロジェクターが多い。やはり、仮想現実に没入するには、視界に余分なものを入れないほうがいいのだろう。今回は、スクリーンを使った展示の中から、気になった製品やデモンストレーションをピックアップしてみた。
まずは、VRコンテンツの制作などを手がけるキャドセンターが展示していた巨大な横長スクリーン。遠目には実写を映しているように見えるが、近づくとそれがCGであることが分かる。
画面の上のほうに時々ローターらしき影が通るから、どうやらヘリコプターのシミュレーターのようだ。水面の波しぶきや太陽光線の具合などは、かなりリアル。それもそのはず、「もともと軍事訓練用のシミュレーターを作るためのソフトを使用した」(同社)。
具体的には、米MultiGen-Paradigmの3Dモデリングソフト「MultiGen Creatar」と3Dアプリケーション作成ツールの「Vega Prime」、そして各種プラグインを使用している。これらはプロ向け3Dソフトとしても有名な製品だが、軍事用にも使われるだけあってプラグインも“それ用”。暗視画面を再現する「IR Sense」や、レーダー画面を作る「Radar」なども用意されていた。
デモンストレーションのシステムは、計5台のPCをつなぎ、船とヘリの“対戦”ができるようになっている。横の液晶ディスプレイには、船の艦橋と砲塔から見た画面が表示されていて、中にヘリコプターの姿も見えた。試しに船からヘリを撃ってみたが、なかなか当たらない。リアルすぎて、逆にゲーム性には乏しいのかもしれない。
松下電工は、昨年に続き「CyberDome」を展示していた。今回の目玉は、従来よりコンパクトになった「CyberDome 1400」だ。「従来のCyberDomeは、一番小さいものでも開口径が1.8メートルあったが、新製品は1.4メートル。オフィスや研究室でも活用できるコンパクトなサイズに仕上げた」(同社)。
CyberDomeは、半球ドーム型の映像表示システム。上部のDLPフロントプロジェクターで映写した画像や動画を、いったん平面ミラーで反射させ、ドーム内側のスクリーンに投影する仕組み。独自のリアルタイム歪み補正技術により、視界全体を覆うような半球面のスクリーンに自然な映像を表示できる。
CGはもちろん、汎用のAVIやMPEG-2など幅広いフォーマットに対応しており、両眼用の動画ファイルを用意すれば立体視も可能だ。3D対応の「CyberDome 1400 3D」には、偏光メガネが10個付属する。今年8月発売予定。
もう1つのプロジェクターは、日商エレクトロニクスブースで展示していた「Depth Q」。1台で3D表示が行えるDLP方式のプロジェクターだ。
通常、3D表示には「右目用」「左目用」として2つのプロジェクターを使用するが、Depth Qでは、垂直同期周波数を120Hzに向上させることで3D表示に対応したという。120Hzといえば、毎秒120フレームの表示が可能なスペック。つまり、60フレーム/秒の動画なら、右目用と左目用の画像を(交互に)表示できるというわけ。
視聴には、液晶シャッターを使用する。液晶シャッターメガネとプロジェクターは、コントローラボックスを介して赤外線で同期をとる仕組みだ。赤外線の到達距離は約17メートル。
Depth Qの本体サイズは249(幅)×327(奥行き)×106(高さ)ミリ。重量は3.1キロ。これなら、プレゼンや研究発表などにも手軽に使えそうだ。価格は120万円(アカデミック価格は95万円)。
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